人格破綻まで招きかねない「低血糖」の恐怖、「高くても低くてもダメ」血糖値の正しい整え方
健康診断の結果が出るたびに一喜一憂する人も多い「血糖値」には、完全に解明されていない部分がたくさんある一方で、明らかになっている事実も枚挙にいとまがないと、糖尿病専門医の矢野宏行氏はいいます。 血糖値や糖尿病について、まだまだ誤った知識が蔓延している中、矢野氏が特に懸念している「低血糖」の知られざる危険性とは、いったいどんなものなのでしょうか。 ※本稿は、矢野氏の著書『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。 【イラスト】めまぐるしく上下動を繰り返す「血糖値スパイク」のイメージ
■百害あって一利なしの「血糖値スパイク」 みなさんは血糖値の変動にどんなイメージをお持ちでしょうか。 「食事や運動、ホルモンのバランスなどによって数値が変わるのは知っているけど、何十も変わるのもではないでしょう。だいたい1桁範囲内の変動じゃないの?」 このように考えている人はけっこういるはずです。しかし、それは大間違いです。健康な人でも10や20はすぐに変動します。 食事のあとは、もっと上がります。糖尿病患者のなかには、食後に100以上変動する人もいます。まさに二次関数のグラフのように、急上昇していくのです。
そして当然のように、血糖値が上がるとインスリンがフル稼働し、しばらくすると食前と同じくらいの数値にまで下がります。場合によっては、それよりもさらに、必要以上に下がってしまうこともあります。 このように、血糖値は1日中めまぐるしく上下動しているのです。この現象を「血糖値スパイク」といいます。血糖値スパイクは、百害あって一利なし。人間の体にさまざまな不調をきたします。日中でも眠くなったり、集中力が落ちたり、イライラしたり。生活に与える悪影響は計り知れません。
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください 血糖値スパイクは一時的に低血糖の状態をつくるので、糖新生(最低限の血糖値を維持するために筋肉や脂肪から糖質をつくってくれる、人間の体に備わっているシステム)も活発にします。糖新生には、グルカゴン以外にもアドレナリンやコルチゾールといった副腎ホルモンが関係していますが、頻繁に糖新生に駆り出されていると、いざというときに、ほかで必要とされている場所で働いてくれなくなります。