ブーイングを拍手に変えたマー君の勝負魂
オルティズ、ナポリに正面から勝負
試合後、オルティズ、ナポリに浴びたホームランの場面を聞かれた田中は、「打たれたボールは甘い。色んな球種がある中で、今回打たれたことを、次の対戦での教訓にしたい。失投は失投です」と語った。オルティズには、ボールカウント3-1からの148キロのツーシームが、キャッチャーが構えたミットの位置から少し甘く入った。続くナポリにも、カウント1-1から146キロのツーシームが高かった。 いずれも今回選択したボールは、ストレート系のボールだった。4点差。走者もいなかった。挨拶代わりに強い勝負魂を見せつけるために、あえてストレート系を選んだのだろう。ボールを使ったメッセージである。メジャーリーグ解説者で、元中日の与田剛さんが注目したのは、この4回のオルティズとの対決の場面だ。 「これから先、田中投手は、何年も、オルティズと名勝負を続けていくんだと思うんです。その最初の対戦で逃げるわけにはいかない。だから、あのカウントからでもストレートで勝負にいきましたね。田中のその気持ちは、オルティズにも伝わったんじゃないですか。打たれたけれど意義はありました。田中投手が、長いシーズンと、球数などを考慮して、ストライク先行、3球勝負のピッチングを心がけているのはわかりますが、まだストライクゾーンへの多少の戸惑いがあるのでしょう。ストライクだと思った球が、ボールと判断されると、次にどうしても甘めに入ります。インサイドの使い方を工夫していますが、そのインサイドのストライクゾーンは日本と明らかに違います。さらにレベルアップするためには、思い切って見せ球としてインサイドへボールを投げるのか、少しストライクゾーンに入れるのなら、もっと動くボールを使うなどの工夫が必要になってくるんじゃないですか」 雨とライバルチームのアウェイという環境、しかも、連発で本塁打を浴びるという状況でも動揺しなかった。ひとつひとつメジャーでのハードルをクリアしていく中で、田中が進化していくようにも見える。