「自分は他人の心がわからない。わかろうと思ってもわからないんだよ!」39歳ひきこもり男性が自分のいじめの過去を打ち明けるきっかけとなった兄の悲痛な叫び
初めてつながった家族の絆
今年の正月には、実家に兄と姉が家族を連れて来て、3世代揃って写真を撮ることができた。それまでは兄が姉夫婦と会いたがらず、全員で集まる機会がなかったのだ。 「こんな写真は一生撮れないと思っていたから、冥途へのお土産ができたよ」 母は涙を流さんばかりに喜んだという。 「家族の絆がつながって、一番よろこんでいるのは母です。兄、姉と私の関係がギクシャクしたままだったら、自分たち親が死んだ後どうするんだろうって、私のことが心配だったみたいで。 母には最近、こんな風にも言われました。もし、あなたが病まないで順調に成長していたら、能力は高くても、きっと人のことを簡単に切り捨てるような嫌な人間になっていたと思う。どうなっていたか想像すると怖い。だから、病んでよかったのよって」 竹内さんは現在、主治医から就労を禁じられており障害年金を受給している。目が悪くなってきた母親の代わりに、掃除をしたり料理を作ったりすることも増えてきた。支援活動も、家族みんなに応援されて続けている。今後は当事者の話などをもっと広く発信できないかと考えているそうだ。 「高校時代とかは100パーセントでやろうと頑張り過ぎて失敗したから、30パーセントくらいでやろうと。うまくいかなくても、まあ、30パーセントだから仕方ないと逃げ道があるし(笑)、ちょうどいいかなって」 そして、「頑張り過ぎないことが大事なんですよね」と、自分に言い聞かせるように、くり返した。 取材・文/萩原絹代
萩原絹代