軽症の救急搬送費用を患者負担に 三重・松阪、医療切迫で
三重県松阪市は、救急車による搬送後、入院に至らなかった軽症患者から7700円を徴収する取り組みを6月から始めた。搬送増加による救急医療体制の逼迫を防ぐのが狙い。総務省消防庁によると、地域単位での実施は全国でも珍しいという。救急車の出動件数の抑制につながったが、専門家からは「市民への丁寧な説明が必要だ」との声も出ている。 徴収の対象となるのは、松阪市民病院など市内3病院への搬送。200床以上の病院を紹介状なしに受診した際にかかる「選定療養費」として、医師が請求の可否を判断する。労災や交通事故で入院に至らなかった場合は対象外となる。 松阪地区広域消防組合消防本部によると、松阪市を含む管内3市町の出動件数は増加傾向にあり、2023年は1万6180件で過去最多。22年の救急搬送人員を分析すると、約57%が軽症だった。 取り組みを開始した6月の出動は1031件で、昨年同月に比べ約22%減。取り組みは一定の効果を生み出した形だ。選定療養費を請求する事例もあったという。