出かけたプールで撮影された「娘の水着写真」を知人が勝手にネットで公開…「娘はショックで泣いています」
●「撮影はOKしてるんだから」許される?
――相談のケースでは、投稿者と連絡が取れたために削除してもらえましたが、もし応じてもらえなかった場合、どのような手続きをとればよいのでしょうか。 プライバシー権や肖像権といった権利を侵害する投稿については、SNSの管理者に対し削除要請を行ったり、裁判所に削除の仮処分申立て等を行うとよいでしょう。困っている場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。 もっとも、今回の事例のような困った友人だと、「撮影」は本人も承諾しているのだからいいじゃないかといった反論が来るかもしれません。 実際に、投稿された本人が嫌だと思っていても、プライバシー権や肖像権といった権利侵害がないならば、SNSの管理者や裁判所へ要請しても、消してもらえない可能性があります。
●プライバシーの侵害、どう判断?
――「権利侵害がない」と判断されてしまうこともあるのですね。 今回のような事案について、検討してみると、プライベートな写真が公表されプライバシー権や肖像権といった権利侵害の有無が問題となった過去の裁判事例で、裁判所は、簡単にまとめると、プライバシーの侵害について以下のような事情を検討しました。 例えば、公表された写真が、(1)私生活上の事柄かどうか、(2)一般人の感性で公開されたくない情報かどうか、(3)既に一般に知られているものかどうか、(4)被害者が公表によって不安を感じるかどうか、といった事情です。 こうした事情に加えて、肖像権については、(5)写真を「公表」することに被害者が同意していたか、(6)被害者が有名人で公表することに公益性等があるか、といった検討を通じて、権利侵害の有無を判断しています。 今回の相談では、友人家族と一緒に行ったプールでの水着写真は、(1)私生活上の事柄ですし、(3)他の人に知られていることもなさそうです。(2)写真次第になるでしょうが、一般人の感性でも、特に子供の水着写真の公開はされたくないものが多いでしょう。 (4)これも写真次第ではありますが、被害者が公表によって、事件に巻き込まれたり、知らない大人の視線が子供に集まることを不安に思うのも当然でしょう。 加えて、今回の相談では、(5)「写真撮影」には同意していても、「SNSでの公表」に同意はありませんし、(6)このような相談をされる多くの方は、有名人ではなく、一般の方でしょうから、公表に公益性等があるとも思えません。 このように見てくると、もちろん写真の内容次第ではあるものの、ご相談にあるような子供の水着写真を勝手にSNSに投稿することは、権利侵害に該当して、削除できる可能性がある写真です。