「満足いく状態になるまで5年くらいかかりました」スタイルとREに憧れ約10年。購入から約25年をともにする一台|マツダ戦記|1983年式 マツダ サバンナRX-7 ターボGT-X
センセーショナルなデビューを飾り、人気を集めたSA22CサバンナRX-7だが、ストーリーはまだ始まったばかり。 登場後、次々に改良を重ね、進化を遂げていったのだ。 【画像16枚】ロータリーターボの搭載でついに完成形の高みに到達 まずデビュー翌年の1979年に、12A型エンジンを希薄燃焼方式に改め、排ガス浄化方法もサーマルリアクター式から三元触媒方式に変更。これで燃費性能が20%向上した。続く80年が1回目の大きな改良で、内外装を一新。リアまわりのデザインを変更するとともに前後バンパーをボディ一体のウレタン製に変更。室内も一体成型のルーフやドアトリム、新デザインのステアリングホイールを採用するなど細かな部分も変更している。これらの改良は軽量化や空力特性の向上にもつながり、10モード燃費で従来比9%アップの9.2㎞/ℓとなった。ちなみに、12A型エンジンはその後、6PI(ポート・インジェクション)仕様に進化。これは吸気系にポートを設け、運転状況により開閉する可変吸気システムで、燃費とトルク向上を図った。 ついに待望のターボエンジンが投入されたマイナーチェンジを実施 そしてSA22Cで最も大きなトピックが83年の改良だ。ついにターボエンジンが投入されたのだ。 12A型ロータリーターボはひと足先にルーチェ/コスモに搭載されていたが、SA22Cにはその改良版が搭載された。主な改良ポイントはターボユニットの小型・軽量化で、タービン&コンプレッサーの外径やA/R比を小さくしている。 また、排気パルスを最大限活用するためにタービンブレードの形状も変更。これらの改良が加えられた12A型ターボは、自然吸気版より35 psアップの165psというハイパワーを生み出すことに成功。 1トンそこそこの軽量ボディと相まって、圧倒的なパフォーマンスを発揮したのだった。 また、ターボによるハイパワー化に合わせて、シャシーにも改良を加えている。12A型ターボ搭載車はクラッチやデフ、車軸を強化し、ブレーキも前後ともにベンチレーテッドディスクに変更。 ディスクローターもサイズアップしてパワーアップに対応した。さらに、ターボ車には手動調整式8段減衰力可変ダンパーも採用。走りに一段と磨きがかかったのだ。 マツダの夢と情熱、そしてファンの期待を込めて打ち上げられたロータリーロケットは、年々進化を続け、ターボエンジンの搭載で完成形となり、多くのファンのハートをつかんだ。 そして、この世代のスポーツカーで間違いなく最高峰の1台に数えられるSA22Cは、名車として語り継がれている。 若き頃からのあこがれのロータリーロケットを手に入れたオーナー リアルタイムでその時代を肌で感じ、見てきた旧車ファンの皆さんのなかには、SA22Cにあこがれを抱いていた人も多いだろう。 この個体のオーナーもそのひとりで、20歳頃にデビューしたSA22Cにいつか乗りたいと夢見ていた。そして、30歳を過ぎた頃にその思いがついにかない、この個体を入手したそうだ。 しかし、コンディションはけっして良いとは言えず、「エンジンのハウジングが変形していたり、デフが不調だったりしていました。エンジンをオーバーホールするなど、満足いく状態になるまで5年くらいかかりました」とオーナー。 とはいえ、その甲斐あって、購入以来約30年をともに過ごしている。「もう、SAがあることが当たり前の生活です」と語るオーナーがSAを見る目は、愛情に満ちあふれていた。 主要諸元 SPECIFICATIONS 1983年式 サバンナRX-7 ターボGT-X(SA22C) ●全長×全幅×全高(㎜) 4320×1670×1265 ●ホイールベース(㎜) 2420 トレッド前/後(㎜) 1420/1400 ●車両重量(㎏) 1035 ●エンジン型式 12A型 ●エンジン種類 2ローター・ロータリーターボ ●総排気量(cc) 573×2 ●圧縮比 8.5:1 ●最高出力(ps/rpm) 165/6500 ●最大トルク(㎏-m/rpm) 23.0/4000 ●変速比 1速3.622/2速2.186/3速1.419/4速1.000/5速0.791/後退3.493 ●最終減速比 3.909 ●燃料タンク(ℓ) 63 ●ステアリング ボール・ナット式 ●サスペンション前/後 ストラット/4リンク+ワットリンク ●ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも) ●タイヤ前後 205/60R14(前後とも) ●発売当時価格 215.2万円
Nosweb 編集部