「あれはオオタニがテオスカーを気遣ったんだ」ドジャースの控え捕手が語る“大谷翔平の優しさ”「オオタニはスターだし…緊張したよ」チームメイトの証言
控え捕手が語る…「三塁まで走って!」の真相
「彼はいつもふざけてくるんだよ」。笑いながらそう明かすのは、中継ぎ陣のひとり、ランドン・ナック(27歳)だ。 「(大谷は)ダグアウトで人をいじるのが好きなんだ。ベンチに座っていると、ひっそり隣にやって来て、顔を近くに寄せたり。それでこっちが驚くでしょう? その反応を見てケラケラ笑っている」 オースティン・バーンズも、ベンチで大谷と話すシーンが頻繁に見られる選手のひとりだ。バーンズは34歳、メキシコ代表の正捕手として2023年WBC準決勝で日本と対戦している。現在はドジャースでウィル・スミスに次ぐ控え捕手という立ち位置だが、キャッチャーとしての評価は高い。9月末のシーズン最終戦では、一塁ランナーの大谷が二塁ランナーのバーンズに送った「三塁まで走って!」と言わんばかりのジェスチャーが話題を呼んだ。バーンズによると同シーンの真相はこうだった。 「次の次の打者にテオスカー・ヘルナンデスが控えていた。テオがその時、ちょうど99打点だったんだよ。だから(大谷は)テオが100打点に届くように、私に三塁まで行ってほしい、と伝えたかったんだと思う。ベンチにいる時間が長いから、(DHの)ショウヘイと話すことも多いよ。今思ってるのは、ピッチング練習もしている彼に、いつかこう言いたいんだよ。『50-50を決めたし、もうピッチャーはやめてもいいんじゃないか? 』って。そうすれば彼の困惑する顔が見られると思って(笑)。もちろん冗談だけど」
「オオタニが何度もチームを助けた」
最後に、大谷がチームに溶け込めた理由として忘れてはならないのは、彼の「安定感」だ。50-50やホームラン王といった派手な成績ではない。同僚たちが口々に「オオタニが何度もチームを助けた」と言ったように、ベッツやフリーマンが離脱中の試合に出続けた。そして打ち続けた。162試合中、159試合に出場した。 先述のコペックはこうも口にしていた。 「ショウヘイが意思するところに、ベースボールは動いていく」 誰よりも世界一を渇望する大谷が、どこよりも世界一が求められるチームに溶け込めないわけがなかったのだ。 <前編から続く>
(「メジャーリーグPRESS」田中仰 = 文)
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