「守備なら富田のほうが…とか」男子バレー“わずか12名”熾烈な五輪メンバー競争の舞台ウラ「正直に言うと、きつかった」大塚達宣の決意表明
「甲斐を見て、びっくりしました」
まず、結果を出したのが甲斐と富田だ。アルゼンチンとの初戦にスタメン出場すると、甲斐は主に攻撃面で、富田は攻守にわたってチームを勝利に導く活躍を見せた。ブラン監督がネーションズリーグの中でも最重要と位置付けたアルゼンチン戦の勝利は喜ばしい結果だったが、ポジション争いに身を置く選手たちには、手放しには喜べない複雑な感情が芽生えていた。大塚が回想する。 「甲斐を見て、びっくりしました。パスがどんどんよくなっているのもあるんですけど、崩れても自分でハイボールを呼んでブロックをぶち破る。こういうタイプの日本人選手って今までいなかったと思うし、彼も彼なりのスタイルをブラさず表現し続けた。コミュニケーションの面でも、去年までは『大丈夫か? 』と思うこともあったんですけど、今年はよくしゃべるようになった。こんなに変わるのか、とびっくりしました」 同じアウトサイドヒッターというポジションでも、持ち味はそれぞれ異なる。 たとえば、甲斐ならば高さとオフェンス力、サーブが武器であるのに対し、富田はディフェンス力に長けている。対して大塚は、といえば、攻守のバランスに長けた安定感が何よりの武器でもある。 通常ならば互いのいいところばかりに目を向け、パズルのピースのように組み合わせてより強固なチームにすべくどうするかを考えればいい。だが、12名という限られたメンバー選考になれば、長所ばかりでなく、ウィークポイントにも目を向けなければならない。 選考が続く中、ブラン監督の参謀である伊藤健士コーチも頭を悩ませていた。 「ブラジルラウンドを終えた段階では、攻撃面において甲斐が抜きん出ていました。でも対トップレベルになるとどうか。相手もサーブで狙ってくるし、そこで耐えられているかと言えば、耐えられなかったのが現実です。富田も同じでディフェンスは抜群だけれど、フロントでの攻撃力が足りない。大塚はポーランド戦の数字もよかったし、パワー、エナジーも出していて、まんべんなく良さを出していたけれど、でもディフェンスで見るとやっぱり富田のほうがいいのかな、とか。何を求めて評価するか、というのが非常に難しい。特に福岡ラウンドの4試合で、余計に難しくなりました」
【関連記事】
- 【画像】「大塚が小川がラリーが深津が叫んでる…!」TVには映らない“男子バレーの絆”がわかるベンチメンバーの全力応援「いま見ると泣ける」〈他100枚超〉
- 【なぜ同じ時代に…】男子バレー“2人の最強リベロ”に非情な通告「どちらも世界レベル。でも1人しか選べない」小川智大が漏らした山本智大への本音
- 【衝撃実話】“ヤンチャ坊主”西田有志を育てた肝っ玉母ちゃんとマジメな父「タバコ吸いたいなら吸え」悪さしてもバレーボールだけは一生懸命だった
- 【知られざる苦悩】「クソ悔しい」石川祐希も指摘した宮浦健人の“消極的なプレー”…それでも、“背番号4”に期待してしまう理由「パリで目撃した限界突破の筋トレ」
- 【覚醒の原点】「お前、何笑っとんねん」高橋藍を激怒させた相棒セッター…高校時代の高橋藍はとんでもなく“負けず嫌い”だった「目標は常に高いところに」