【陸上】北口榛花が2年連続MVP「さらに上を目指すものはたくさんある」新たに“柔道トレ”にも着手/陸連アワード
◇日本陸連アスレティックス・アワード2024(12月19日/東京・港区) 日本陸連の年間表彰式となるアスレティックス・アワードが行われ、MVPに当たる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた女子やり投の北口榛花(JAL)が登壇し、表彰された。2年連続は2011、12年の室伏広治(男子ハンマー投)以来2人目で、女子では初の快挙となる。 アスレティックスアワード2024 受賞者一覧と、過去のMVP受賞者をチェック! 式典に出席した北口は「2年連続でいただけるのはすごく光栄です。(アワードは)改めてこういう1年だったなと振り返る、思い出になります」と笑顔を見せる。 壇上のスピーチでは「このような1年はもう来なくていい」と語るほど、コンディション作りに苦しんだシーズン。そうした中で手にしたパリ五輪金メダルとダイヤモンドリーグ・ファイナルの連覇だった。 「(昨年の)ブダペスト世界選手権は喜びで、本当にうれしかったのですが、パリは安堵の気持ちでした」と話す。世界選手権、五輪、ダイヤモンドリーグとタイトルを手にしてきたが、「陸上には記録があって、タイトルはなしにして目指せるのが魅力の一つでもある。やっぱり何よりうれしく感じるのは自己記録を更新した時だと感じました。さらに上を目指すものがあるので、心配いりません」と笑い飛ばす。 他種目では、男子棒高跳や女子走高跳など、世界記録が出る種目は盛り上がりを見せると肌で感じており、「そういう意味も含めて、記録に挑戦していくことが必要。夢の70mを目指していきたい」と意欲を見せる。 そのために、11月からトレーニングを再開。表彰式ラッシュに「表彰していただけるのはできるだけ行きたい」と多忙なスケジュールを過ごしたが、しっかり練習で汗を流す。例年、この時期は山上りやスケート、さらにはバドミントンや水泳など、さまざまな動きを取り入れている。 今季は、体操の頻度も増やしつつ、新たに加わったのが「柔道」だ。同じ治療院に通う北京・リオ五輪銅メダリストの中村美里さんを紹介してもらい、「素人の私でもできるように受け身から教えていただきました」と“世界の技”を伝授。「体操などのまっすぐな動きだけでなく、投げるのも対角線に斜めに芯が入っているイメージなので、新しい刺激を身体に入れられれば」と明かす。 「私、やり投でしたっけ?」と笑いを誘いつつ、少しずつボール投げなども行っているようで「いつもよりはゆっくりですが、2月くらいからやりを投げられれば」と見据えていた。 その笑顔の裏に、苦しみや葛藤を抱えながら、それでも目標に向かって努力を重ねた世界女王。2025年も北口らしく、足元を見つめて突き進んでいく。
月陸編集部