長野県松本市のスマート農業支援策好調 機械購入補助の利用増
ICT(情報通信技術)やロボット技術を活用して作業の効率化や品質向上を図る新たな農業・スマート農業を推進するため、長野県松本市が農業用機械の購入費用を補助する「市スマート農業推進事業補助金」の利用が伸びている。開始当初の4年度と5年度はそれぞれ12件だったが、3年目の本年度(申請は締め切り)は倍近い21件に伸びた。市は農業者の関心が高まっているとみて、来年度以降も継続していく考えだ。 事業の対象は認定農業者や集落営農組織で、直進アシスト機能付き田植え機やトラクター、防除用ドローンなど50万円以上の機械を購入する際に、費用の2分の1(上限200万円)を補助する。本年度の申請が増えたのは、実演会を開いて機械に触れる場を設けたり農業者の間で周知が進んできたりしたことが要因とみられる。補助総額は3年間で8000万円近くに上った。 実演会では参加者から「直進アシスト機能があれば初心者でも熟練者と同じように運転できる。オペレーターの負担が減る」という声が聞かれた。単独でこれだけ多くの補助金を交付している自治体は県内では少ないため、業者からも「松本は農家がスマート農業を検討しやすい環境が整っている」といった意見もあった。 市の調査では来年度も20件ほどの申請がありそうという。市農政課は「農業用機械は高額のため補助金額の引き上げを求める声もある。スマート農業の推進へ取り組みを進めていきたい」と話している。
市民タイムス