中国がエヌビディアを調査、独占禁止法違反の疑い-株価下落
(ブルームバーグ): 人工知能(AI)向け半導体大手の米エヌビディアに対し、中国が独占禁止法違反の疑いで調査を開始した。
中国国営の中央テレビ(CCTV)が9日報じたところによると、エヌビディアの最近の慣行や、コンピューターサーバーの情報伝達を高速化する半導体の設計・製造を手がける米メラノックス・テクノロジーズ買収を巡る状況について、国家市場監督管理総局(SAMR)が調査に着手した。中国当局は2020年にエヌビディアのメラノックス買収を承認したが、エヌビディアが中国企業を差別しないことを条件としていた。
AI向け半導体供給で首位のエヌビディアは、米中のテクノロジー覇権争いの渦中に巻き込まれている。米政府は中国のAI開発能力をくじこうと、同社に中国企業への最先端半導体販売を禁止し、中国政府の強い反発を招いた。
エヌビディアのメラノックス買収を承認するに当たり、エヌビディアはメラノックスの新製品に関する情報を得てから90日以内に他の競合企業とも共有することを中国当局は義務づけていた。エヌビディアはまた、中国の半導体各社の製品とメラノックスの技術との互換性を確保する機会を設けることにも同意していた。
この報道を受け、米国時間同日早朝の時間外取引で、エヌビディア株は2%余り下落している。6日の米国市場で同社株は1.8%安の142.44ドルで引けていた。
エヌビディアの代表は、コメントの要請に今のところ応じていない。
エヌビディアは米国の規制に準拠しつつ、中国の顧客に重要な新技術に取り組む一定の能力を供与するようなAIチップの開発に取り組んできた。
ブルームバーグ・ニュースは9月、米司法省がエヌビディアに独禁法違反の疑いがあるとして文書提出を命令したと報道。フランスもAI向け半導体に対する同国の調査でエヌビディアが対象になっていると名指しし、同社が「いつか」独禁法違反の罪に問われる可能性があると、フランス競争当局のクーレ長官は7月に述べていた。