“銀パソ”ブームの火付け役。PCブランド「VAIO」26年の歴史を振り返る
【2015年】法人向けでヒットした「VAIO Pro 13|mk2」
現在のVAIOのラインナップに至る道筋を知るうえでは、2015年に、法人向けとして「VAIO Pro 13|mk2(マーク2)」というノートPCが発売されていたことも、見逃せないトピックです。 ノートPCでの生産性を追求するうえで、コンシューマー市場だけではなく、法人ビジネスも視野に入ってきた――と黒崎氏は説明します。 「法人市場というのは、やはり独特なものです。ただ単に使いやすいだけではだめで、組織のなかで大量に配布してもらい、いろいろなニーズをカバーしつつ、管理もしやすいという必要性があります。もちろん、法人ビジネス自体はソニー時代にもやってきていましたが、VAIO株式会社になってからこういった部分にもう一度真剣に向き合って作ったのが『VAIO Pro 13|mk2』でした。実際、当時売れたノートPCの台数の7~8割が本機種だったくらいよく売れました」(黒崎氏) 2014年7月のVAIO設立時には、ソニー時代から引き継いだ「VAIO Pro 13」が販売されていました。一方で、その後継となる「VAIO Pro 13|mk2」は、法人向けを強く意識して新体制で開発したノートPC第一号でした。 「『VAIO Pro 13|mk2』に関しては、初期検討用のモックを法人営業との懇親会に持ち込んで、仕様について議論しました。通常ではあり得ないくらいのフライングなタイミングです。そのくらいの意気込みで、一気に法人向けへと舵を切っていきました。設計については、法人向けということで、5年使っていただいてもへこたれない信頼性が必要でしたが、一方で、もっと軽くしたいという葛藤もありました。価格もフラッグシップより下げて普及価格帯に納めなくてはなりません。開発チームとして、こうした部分をかなり議論して、なんとか乗り越えてきたことで、現在のラインナップにも通じる信頼性を確保できた。そういう契機になった機種でしたね」(巢山氏)