「昔の名前VS女性1期生」立憲民主党の代表選が吉田晴美氏の参戦によって急変化
■吉田氏は江田氏の「条件付き支持」で“滑り込みセーフ” 「第4の候補」を目指した吉田氏の推薦人集めはさらに困難を極め、告示当日の朝になってもなおもつれ続けた。そもそも立憲の所属議員は計136人のため、その時点での推薦可能な議員数は限られており、それを吉田、江田両陣営で奪い合う事態となったため、吉田氏は運動靴で自ら議員会館を走り回ることを余儀なくされた。 吉田、江田両氏は7日も朝から国会内で会談を繰り返した結果、立候補受け付け終了が約30分後に迫った同日午前10時半ごろ、両氏が記者団に対し「消費税の食料品非課税などの政策に合意したうえでの吉田氏への一本化」を発表した。吉田氏は「正直、もう駄目かと思う瞬間もあった」と苦笑し、江田氏は「ジェンダー平等を訴える政党の代表選に女性候補がいないのはおかしい。その危機意識だ」と語ったが、無念さは隠せなかった。
ただ、こうした大騒動の末の4人出馬、しかも自民党では考えられない当選1回の女性議員の参戦が、代表選を巡る注目度を大幅アップさせたのは間違いない。多くのメディアも「もし、野田、枝野、泉3氏による代表選なら、何も目新しさがないのでお付き合い程度の報道しかしなかった」(民放テレビ幹部)と口を揃えた。 ■吉田氏の戦いぶりが「党の浮沈占うカギ」にも 4氏出馬を受けた7日には、NHKをはじめ民放各局が定時ニュースで代表選情報を大きく取り上げる一方、BSも含めて各種情報番組にも4氏を招き、それぞれのコメンテーターらとの質疑応答などを報道し続けた。それにより、国民の注目・関心度も一気に高まり「まさに、吉田効果は絶大」(政治ジャーナリスト)となった。
そこで、永田町関係者の注目点は、「最終的に誰が次の代表になるか」だ。しかも、「大乱戦の自民総裁選と同様に、誰も1回戦で過半数を得られず、上位2人の決選投票にもつれ込む可能性」(同)も想定されている。その場合、決選投票に残れなかった3、4位陣営を絡めた多数派工作で勝者が決まることになる。野田、枝野両氏は「今からそんなことを考えるのはおかしい。政権奪取のための『党の顔』に誰が最適任かをその時点で考えればよい」と口を揃えるが、「自民並みの不透明な多数派工作もあり得る」(同)のが実情だ。
ただ、地方党員らの間では「吉田氏以外は全くインパクトがない」(次期衆院選候補者)との声が多い。このため「多くのメディアや国民は、吉田氏が上位争いをするかどうかだけに注目しており、今後の代表選は吉田氏を中心に回る」(政治ジャーナリスト)との見方が広がりつつあり、「吉田氏の戦いぶりが党の浮沈を左右するカギになる」(同)ことは間違いなさそうだ。
泉 宏 :政治ジャーナリスト