日本上陸60周年の「グッチ」、世界巡回展の見どころは? 美術館の所蔵作品とのコラボが斬新
◆世界観に影響を与えた乗馬にフィーチャー「ZOETROPE - 乗馬の世界」
次の「ZOETROPE - 乗馬の世界」では、バンブー、ホースビット、ウェブ ストライプ、鎧(あぶみ)といった、グッチの伝統的なデザインや素材にインスピレーションを与えてきた、乗馬の世界をテーマにしたインスタレーション。 円形の空間に配された大型スクリーンに、疾走する馬の映像が映し出され、馬の蹄(ひづめ)の音や馬にまつわる朗読も相まって五感が揺さぶられます。 展示ケースの中には、乗馬から着想したファッションアイテムでコーディネートされたマネキンがずらりと並び圧巻! ホースビットや、馬にサドルを固定するための腹帯からインスピレーションを得たグリーン・レッド・グリーンのウェブ ストライプといったグッチの伝統的なモチーフが、歴代のクリエイティブ・ディレクターにより再解釈され、最新のファッションアイテムに反映されています。 過去から未来へ進化を遂げつつも、グッチの世界観から逸脱しない確固たるポリシーが感じられました。
◆ファッションでたどるブランドの変遷「Echoes – クリエイティビティの系譜」
寄せては返す波をイメージした舞台に、1970年代から現在までのグッチのコレクションに身を包んだマネキンが今にも動き出すかのように並び、ミラーに映し出されています。年代に関わらず、カラーやインスピレーションによって並べられることで、常に時流を創り出し、クリエイティブを追究し続けていることを表現。 時代を越えて、グッチのファッションアイテムで着飾ったモデル達がパーティーに集ってきたような華やかな空間です。 トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニ、アレッサンドロ・ミケーレ、サバト・デ・サルノといった歴代のクリエイティブ・ディレクターが手掛けた作品群の中には、海外の有名アーティストが授賞式に着用したドレスや日本文化を取り入れたキモノドレスなど貴重な作品も多く、一見の価値があります。
◆美術館の所蔵作品とのコラボ展示「LEISURE LEGACY - ライフスタイル賛歌」
こちらはさまざまなレジャーやスポーツシーンにまつわるアイテムが、京都市京セラ美術館のコレクションと呼応するように展示されており、斬新。 例えば、1970年代に誕生したGGパターンのゴルフバッグ&シューズと丹羽阿樹子(にわあきこ)の日本画《ゴルフ》(昭和初期)、1960年代のレオナルド プリントをあしらったヘンプ製のピクニックセットと中村研一(なかむらけんいち)の《瀬戸内海》(1935年)など、グッチのアーカイブピースと、余暇や屋外の楽しみにちなんだ絵画作品とともに鑑賞することができます。 そして、1988年製作の乗馬のサドルと黒栗毛の馬の姿を優美に描き出した菊池契月(きくちけいげつ)の《紫騮(しりゅう)》(1942年)との競演。和と洋の垣根を越えたアートとブランドの融合は、時代や国籍を越え、レジャーやスポーツの楽しさを伝えてくれるようでした。