年金を繰り下げてよかった!「夫婦で年金月32万円」の75歳・同い年夫婦、年金増額で余裕の老後も一転、「身に覚えのないお金のトラブル」に破産を覚悟「何かの間違いでは」
年金「5年受給待機」で「月8万円増額」に喜び
佐藤進さん(仮名・75歳)・京子さん(仮名・75歳)夫婦も年金の繰下げ受給を活用。結婚後は専業主婦だった奥さんは65歳から年金の受け取りを始めましたが、進さんは65歳以降も働いていたため、当時、繰下げることのできる70歳まで年金は受け取らずにいたといいます。 ――65歳から年金を受け取っていたら月16万円ほど。それが23万円ほどになるというのだから、利用しない手はないと思った そう進さんは語っていたといいます。5年間の繰下げで年金は月8万円ほど増額。夫婦で年金は月32万円ほどになったとか。 ――これだけ年金があれば、孫にもお小遣いをあげられるし、お金の心配をしなくてもいい 佐藤さん夫婦、「繰下げ受給によって老後の生活に余裕が生まれた」と、喜びを口にしていたといいます。
「何、この請求は?」…ある日、高齢夫婦を襲う異変
ところが、思わぬ事態から「簡単に老後破産してしまうんだと身をもって体験した」と京子さん。思わぬ事態とは? ――ある日、ビックリするくらいの金額の請求書が届いて。私にはまったく身に覚えがないので、夫かなと思ったんですけど、夫にも身に覚えがないというので その後も同じようなことが何度も起きたといいます。高額の健康食品、化粧品、電化製品……買ったというものは多種多様。「何かの間違いではないでしょうか?」。その都度、身に覚えがないと説明をし返品しますが、度重なるお金のトラブルに「このままでは破産をしてしまう……」と覚悟するほどだったといいます。ところが解決に至ったのも、お金のトラブルだったとか。 ――別の日に自宅の屋根工事だという業者がやってきて。「えっ、3年ほど前に直したばっかりだから、そんなことお願いするわけないですよ」といったんですけど、夫から電話がきたと業者の人が…… ここで京子さん、一連の事態が進さん自らが起こしたことと察したとか。まずは病院へ。そこで進さんが認知症を発症していることが判明したといいます。 ――ふと何かを買ったり、契約をしたり。しかし買ったら、そのことをすぐに忘れてしまう。その繰り返しだったんです 幸い、今のところ悪質な業者に騙されることがなくよかったと、胸をなでおろす京子さん。 経済産業省『2022年度相談報告書』によると、経済産業省消費者相談室で受け付けた消費者相談件数は6,952件。そのうち相談者の年齢が判明している2,717件の相談のうち、最多は50代で721件で全体の26.5%。70代は498件と全体の18.3%でした。 ただ高齢者の場合、進さんのように認知症などにより、相談にまで至っていない=問題を自覚していない、というケースも多いでしょう。不用意に高額の商品を押し売りされ、支払いに困窮するケースも珍しくないといいます。本人はもちろん、家族も十分に気を付けたいところです。 [参考資料] 日本年金機構『年金の繰下げ受給』 経済産業省『2022年度相談報告書』