インターネット上の“悪質な誹謗中傷・書き込み”も対象に!改正前よりも厳罰化された「侮辱罪」について解説
◆「侮辱罪」改正前後の変更点を解説
侮辱罪での処罰については、法律改正前は拘留または科料(1,000円以上1万円未満の金銭を支払わせる刑)という軽いものでしたが、改正後は拘留または科料に加えて「1年以下の懲役・禁錮」もしくは「30万円以下の罰金」と刑罰の選択肢が増えました。 拘留・懲役・禁錮の違い 拘留:1日以上30日未満の身体拘束 懲役:長期の身体拘束(刑務作業の義務あり) 禁錮:長期の身体拘束(刑務作業の義務なし) 法律の改正により、侮辱罪はそれだけ重大な犯罪だと認められたことになります。また、改正前と同じく侮辱罪で処罰されれば“前科”となります。気軽な気持ちでネット上で誹謗中傷すれば、一生消えない経歴を持つ可能性があります。 侮辱罪の法定刑が引き上げられたことで、法律上の取扱いが変更されました。例えば、これまでは「教唆犯(※1)」や「幇助犯(※2)」について処罰することができませんでしたが、法定刑の引き上げにともない処罰が可能になりました。 ※1教唆犯(きょうさはん):他人をそそのかして、犯罪の実行を決意させること。実際に罪を犯した「正犯」と同じ範囲で処罰されます。 ※2幇助犯(ほうじょはん):他人の犯罪の手助けをして、その実現を容易にすること。正犯の法定刑の半分の範囲内で処罰されます。 ほかにも、改正前は、インターネット上に侮辱罪にあたる書き込みがされた場合、書き込みから1年が経過してしまうと、検察官が書き込んだ人を侮辱罪で起訴することができませんでしたが、法定刑の引き上げによって公訴時効の期間が1年から3年に長くなりました。 捜査機関への相談が遅れると、捜査機関がプロバイダーを特定したり、発信者を見つけ出したりしているあいだに書き込みから1年が過ぎてしまうケースもあります。これまで泣き寝入りをしていた方にとって、公訴時効の延長は心強い変更となります。 逮捕に関する取扱いにも変更があります。これまで警察が逮捕状により被疑者(侮辱罪にあたる行為をした疑いのある人)を逮捕することができたのは“被疑者が住所不定である場合”、または正当な理由なく出頭に応じない場合”のみでしたが、現在はその制限がなくなり、定まった住所があっても、出頭に応じていても、逮捕の必要があると認められる場合には逮捕状により逮捕される可能性があります。 侮辱罪にあたる行為をする人のなかには、「相手のことが気に入らないからやった」「日頃の言動がヒドイから正義感にかられてやった」などと主張する人もいます。安易に誹謗中傷すると、逮捕されて懲役刑や禁錮刑になる可能性があり、「例えば、侮辱罪にあたる他人の投稿を引用して、別の投稿をした場合であっても、侮辱罪で処罰される可能性があります」と猪股さん。 最後に「今回の改正によって侮辱罪が成立する要件に変更はなく、侮辱罪として処罰される範囲はこれまでと同じですので“表現の自由”が不当に侵害されるものではありません。詳しくは法務省のホームページにある『侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A』をご確認ください」と呼びかけました。 番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「侮辱罪の法定刑の引き上げ」について復習。特に注目したポイントをピックアップして発表します。まず村上は“自分がされてイヤな事は人にもしない!”と書き、「小さい頃に言われたことですが、誹謗中傷をする人って(相手への思いやりを)忘れているのかなと思うので」と力を込めます。続いて杉浦は“誹謗中傷は自他ともに傷つくよ、だからダメ!!”と力強く言い、「やったほうも侮辱罪で捕まる場合がありますし、最初からやらないでください!」と注意喚起しました。 (TOKYO FM「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」9月29日(日)放送より)