ドイツに国債増発の懸念、10年債利回りがスワップ金利を初めて上回る
(ブルームバーグ): 10年物ドイツ国債利回りが同年限のスワップ金利を記録上初めて上回った。債務増加に寛容な次期政権の下、来年に国債が増発される可能性にトレーダーが身構えた。
7日の取引でドイツ10年債利回りとスワップ金利の格差は縮小し、前者が後者を2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上回った。これはブルームバーグが2007年にデータの収集を開始して以降で初めて。政府借り入れを厳格に抑制する規則の緩和に反対していたリントナー財務相をショルツ首相が更迭し、早期総選挙の見通しが浮上したことで相場の動きに弾みが付いた。
国債利回りとスワップ金利のスプレッドは、将来の発行見通しを測る重要な指標だ。市場が国債増発を見込むほど、国債利回りはスワップ金利に対して上昇する傾向があるからだ。国債の供給増加に対する投資家の懸念を反映し、世界的にもこのトレンドが長期で加速している。
コメルツ銀行のストラテジスト、ハウケ・ジームセン氏は「リントナー財務相が去り、債務増加への道筋がいっそう容易になる可能性が高い」とリポートで指摘した。
7日の市場でドイツ債の利回り曲線はスティープ化が進み、30年債利回りは一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して2.75%と、7月以来の高水準を付けた。2年債利回りは4bp上昇の2.22%にとどまっている。
ドイツの来年の国債発行予定額は既に過去最高に上ると予想されている。シティグループのストラテジスト、プジャ・セワント氏は準発行額が1390億ユーロ(約23兆円)と、ユーロ圏ではフランスに次ぐ規模になると見込む。この額は、ポートフォリオ縮小を続ける欧州中央銀行(ECB)のロールオフ(償還に伴う保有圧縮)も反映されている。
原題:Fear of German Debt Binge Flips Key Market Gauge for First Time(抜粋)
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Alice Gledhill, James Hirai