自衛隊のネパール派遣は遅い? 海外派遣に必要な手続きは
4月に発生したネパール地震(M7.8)は、首都カトマンズなど同国中部を襲い、8000人以上の死者を出しています。5月12日にはM7.3の余震も発生しました。山岳地帯に位置する同国は地震で道路が寸断されるなど支援活動が十分に行き届いていません。ネパールには、日本からも自衛隊を含む国際緊急救助隊が派遣されていますが、ネット上では実際の派遣が遅かったのでは、との声もありました。災害時の自衛隊の海外派遣にはどのような手続きが必要なのでしょうか。 【動画】ネパール地震 帰国の医師「まだ十分医療が届いてない」
被災国からの要請が派遣のルール
4月25日、ネパールで非常に強い地震が起こり、カトマンズを含む広域にわたり大規模な被害が発生しました。安倍晋三首相および岸田文雄外相は、スシル・コイララ首相およびマヘンドラ・バハドゥル・パンディ外相に対し、被災者へのお見舞いと被災地の早期復旧・復興の祈念、また日本としての支援の用意を伝えるメッセージをそれぞれ発出しました。 ネパール政府はその日のうちに各国に対し緊急援助の要請を行ないました。被災国政府の救助要請を受けて緊急援助隊を派遣するのがルールです。この要請がなければ善意であっても他国に押しかけるわけにはいきません。 日本の緊急援助には、外務省が中心になって関係省庁と協力して派遣する救助チーム、医療チーム、専門家チーム(例:地震の専門家)と、それに自衛隊の部隊の合計4つのタイプがあります。自衛隊はとくに大規模な災害の場合に派遣されます。 自衛隊の部隊が外務省派遣チームに入らないのは、指揮命令系統や行動様式などが異なるためですが、4タイプはいずれも「国際緊急援助隊の派遣に関する法律(国際緊急援助隊派遣法)」にしたがって派遣され、行動します。 緊急援助を実施する際、どの国にとっても問題となるのは迅速な実施です。一般的に、時間がかかる理由としては、救助隊を派遣する側ではいつでも派遣できるよう物的・人的準備を平時から行うのが容易でないことや、被災国の側では、外国からの援助隊を受け入れない方針の国があること、場所によっては外国からの援助チームが立ち入れないことなどの事情があります。かつて、被災国政府が援助要請を発出しているかどうかが明確でないため時間がいたずらに経過した例もありました。