「月8万円」の年金で暮らす70代の母。「迷惑かけたくない」と支援を拒否する母に子どもとしてできることは?
老後は年金を基にに頼って、1人一人暮らしをしている高齢者は多くいます。しかし子どもからすると、高齢の親が1人一人暮らしをしている場合に、資金面や健康面で不安を感じるケースも少なくありません。 親が支援なしの生活を望んでいたとしても、やはり何かしら手助けをしたい方もいるでしょう。 今回は、年金だけで老後を生活することは可能なのかについてと、親が支援を希望しない場合に、子どもが親のためにできることなどについて、ご紹介します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
老後に必要なお金はいくら?
総務省の「家計調査報告」によると、2022年時点の高齢者の単身無職世帯で、毎月の支出は、消費支出と税金や社会保険料などの非消費支出を合わせて、15万5495円でした。仮に毎月8万円の年金だけで生活しようと思うと、7万5495円足りない計算になります。 また、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」によると、2022年時点で70代の平均預貯金残高は544万円とのことです。 足りない分の月々7万5495円を貯金からまかなうとすると、年間90万5940円が必要になるため、70歳から約6年で使い切る計算になります。年金と貯金を使っても、76歳でお金が足りなくなるため、月8万円の年金だけで生活することは難しいといえるでしょう。
親が支援を受けたがらない場合にできること
「子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、貯蓄が少なくても資金支援を断る親もいます。だからといって支援を一切なくしてしまうと、万が一、親が倒れたときや残高が0円に近くなったときに対応できません。支援を受けたがらない親に対して、子どもができることについて紹介します。 ■頻繁に状況を把握する 親のサポートをするためには、情報収集が欠かせません。もし親が、自分からは何もいわない場合は、親の近所に住む方に話を聞いてみたり、かかりつけ医の方と話したりして、現状を把握しておきましょう。 また、認知症などで施設の利用も検討しなくてはならなくなった場合に必要になるため、親自身から、これからどのように過ごしたいのかなどについて、元気なうちに聞いておきましょう。あわせて、貯蓄額などの金銭状況も聞いておくと、介護が必要になったときの準備もしやすくなります。 ■同居か仕送りの提案をしてみる 親と同居することも有効な手段です。一緒に暮らすことで、異変が起こったときにはいち早く気づけます。また親が同居を望まない場合は、念のため、仕送りの提案もしてみましょう。 親に仕送りをすることで、生計を同じくしていると判断されて、仕送りしている側も扶養控除が受けられるケースがあります。さらに、子どもも扶養控除を受けられるなどのメリットがあることを伝えることで、親も納得して、同居や仕送りの提案にうなずいてくれるかもしれません。 ■どうしても一人暮らしをして支援も受けないならば生活保護の利用も検討する 一人暮らしで、子どもからの支援も受けたがらない場合は、生活保護も検討しておきましょう。生活保護を利用すると、設定されている最低生活費に足りない分のお金が支給されます。ただし、扶養できる親族がいる場合には、生活保護が認められない可能性もあるため、注意が必要です。