年後半に向け「利回りを活用する」、インドをはじめ新興国に魅力=HSBCアセットの市場見通し
そして、今後の世界経済等の行方はメインシナリオとして「インフレが徐々に低下し、成長率も緩やかに低下するソフテッシュ・ランディング」という見方を示した。その中で、インドは、非常に楽観的に考えられる「ゴールデン・バス」の状態とし、「インドのメガトレンドは、3つのi(インフラ、イノベーション、個人)に象徴される。インドルピーが安定的に推移すれば、非常に楽しみな市場になる」と語った。
ベヌゴパル・マンガート氏は、「インドは、1年半ごとにGDPが1兆ドル上乗せされる成長が継続して期待できる。2030年までにGDPの規模は7.5兆ドル~8兆ドルの水準に達し、世界第3位の経済大国になるだろう」と基本的な見通しを示した。そして、「物品・サービス税(GST)の2024年4月の月次徴収額は2.1兆ルピーと、2023~24年度の月平均である1.7兆ルピーを上回り過去最高を更新した。旺盛な政府支出によるインフラ投資などの投資が進められているが、財政赤字はGDP比で5.1%に抑えられ、今後は一段と低下する見通しになるなど、財政も健全だ。このことが、インドルピーの安定につながり、インド経済が引き続き成長するという背景になる」と語った。
そのインドの成長には、インフラ関連投資が大きく、電力、道路、鉄道などのインフラ整備は、よりクオリティの高いものへと要求水準も高まっていることから支出額も伸びる方向にあり、強力な成長ドライバーになっているとした。そして、世界最大の人口14億人超の年齢中央値は29歳と若い国であり、1人当たりGDPが2200ドルとなり、今後、1人当たり5000ドルに向けて成長する中で、耐久消費財や医療、外食、宝飾品など高級品の消費が一段と伸びて、インド産業を押し上げていくだろうと見通した。また、「SIP」と言われる投信積立制度が国民の間で広がり、投信を通じた株式市場等への資金流入が続いていることが株価等を押し上げる要因にもなっていると語った。
また、総選挙によってモディ首相が3期目の政権を担うことが決まったものの、与党の議席数が減るなどとの見通しのため株価が大きく下落したことについては、「短期的にはボラティリティ(価格変動)が大きなこともあるだろうが、インドの政策が継続され、これまでの経済成長を支える土台が変わらないことが確認できた。市場は遠からず落ち着きを取り戻していくだろう」と語っていた。(イメージ写真提供:123RF)
ウエルスアドバイザー