年後半に向け「利回りを活用する」、インドをはじめ新興国に魅力=HSBCアセットの市場見通し
HSBCアセットマネジメントは6月6日、「ミッドイヤー・オンラインセミナー」を開催した。グローバル・チーフ・ストラテジストのジョー・リトル氏が「2024年後半のマクロ経済、市場見通し」について講演し、その後、HSBCアセットマネジメント(インド)の株式部門 最高投資責任者(CIO)のベヌゴパル・マンガート氏が「インド株式最新情報」について話した。
ジョー・リトル氏は、2024年の後半のテーマを「利回りを活用する」と題した。「債券のパフォーマンスは、2024年の前半はマイナスのリターンになったが、これは、インフレが思いのほか低下しなかったためだ。この債券のリターンが、年後半は改善すると考えている。インフレが落ち着いてきて、中央銀行が利下げに向かっている今、債券市場が非常に興味深い市場になっている」と語った。
昨年末時点では、「米FRBは2024年に7回の利下げを実施すると予想されていたが。現在は、利下げは1-2回になると修正されている。利下げは9月に実施され、12月にも利下げがあるのではないかと考えている。英国BOEや欧州ECBの利下げは3回程度になると考える。そして、この欧米の動きは、既に利下げを始めている新興国の金融政策にも影響を与え、メキシコやブラジルなどは一段と利下げに進むだろう。このような金融政策の変更が世界の市場を動かす要因になる」と語った。そして、日本については、「ドル円の動向が興味深い。通常は為替に影響を与えるのは、短期金利の変動なのだが、ドル円に関しては米長期債の利回りとの相関性が非常に強い。今後、ドル円は緩やかにドルが弱くなって、日本にとってポジティブな効果が期待できるだろう」と語った。
そして、株式市場は2024年の前半は好調に推移しているが、「年後半のポイントは、米国のテクノロジー株から、物色が広がっていくことだ。非テクノロジー株にも活躍の可能性が広がり、インドを筆頭に、中国も含む新興国にも多くの投資機会がある」と語った。「マグニフィセント・セブン」や「AI関連」などとして注目を独り占めにしてきた米大型テクノロジー株は、株価の上昇によって割高になってきていること、また、利益成長への期待度も高くなっていることから、全体的に市場を押し上げる効果は小さくなっていくだろう」とした。