王貞治にも欠点はあったが、不断の努力で自分だけの“形”を作り上げた【張本勲の喝!!】
“静”の王と“動”の私。なぜか不思議と馬が合った
やはり王が史上最高のバッターだ
2019年も終わりを迎える。今年の最後に、「ワンちゃん」こと元巨人の王貞治について書いておこう。通算868本塁打の世界記録を持つ「世界のホームラン王」。80年を超えるプロ野球の歴史の中で最高のバッターを1人挙げろと言われれば、やはり私はワンちゃんになる。 同級生という気安さもあってワンちゃんとは非常に気が合った。私はパ・リーグの東映、彼はセ・リーグの巨人だったが、リーグの垣根を越えて仲良くしていた。飲みに行っても私はワアワア騒ぐほうだし、ワンちゃんは静かに酒をついで回るタイプ。名門・早実から規律が厳しい巨人というエリートコースを歩んだワンちゃんに対し、私のいた東映は「駒沢の暴れん坊」という異名をとるほど自由奔放な球団。何から何まで正反対だったが、不思議と馬が合った。 若手時代の行きつけの店が同じだったこともあってよく顔を合わせるようになり、私は選手寮が駒沢、ワンちゃんは多摩川だったから、オフにはちょうど真ん中の自由が丘でよく飲んだものだ。まだ21、22歳くらいだったが、楽しい時代だった。 1976年に私が巨人へ移籍してチームメートとなったが、ワンちゃんの練習量には心底、驚かされた。私は人の10倍20倍バットを振ればバッティングは上達するものだと思っていたが、とんでもない。ワンちゃんはとにかく走り込んでいた。ただバットを振ればいいわけではない、まずは強じんな下半身を作り上げることが先決なのだと教えられた。 とはいえ、私同様、ワンちゃんもどちらかと言えば・・・
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週刊ベースボール