『ロード・オブ・ザ・リング』一筋縄ではいかなかったアニメ映画化「騎馬戦も全て手描き」制作陣が語る苦労と挑戦
ファンタジー映画の金字塔『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の200年前を描く物語を、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「東のエデン」などの神山健治監督が長編アニメーション映画化した『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』。アニメーションを制作したのは、「ULTRAMAN」などでおなじみの SOLA Entertainment だ。制作統括(共同プロデューサー)を務めた橋本トミサブロウと、アニメーションプロデューサーの董哲がインタビューに応じ、企画の立ち上げからアニメーション制作における苦労や挑戦を語った。 【動画】小芝風花、『LOTR』新主人公に憧れ!単独インタビュー J・R・R・トールキンの小説「指輪物語 追補編」のエピソードに基づき、騎士の国ローハンの若き王女・ヘラが国の未来を左右する戦いに挑むさまを描く本作。実写三部作を手がけたピーター・ジャクソン監督が製作総指揮に名を連ね、三部作全ての脚本を執筆したフィリッパ・ボウエンも原案として参加するなど、実写映画のスタッフ全面協力による正統な新作が誕生した。
アニメ映画化は「苦労の道」
橋本プロデューサーによると、本作の企画が立ち上がったのは2021年8月ごろ。神山監督は当初、日本の伝統的な手描きアニメーションによる映像化は「とても難しいのでは」と考えていた。そんな中で、映画化に挑戦することになった決定打は何だったのか。 「『ロード・オブ・ザ・リング』というメジャーなIPを断った場合、この先、SOLA Entertainment や神山監督はもちろん、日本のアニメ会社にビッグタイトルのオーダーが届くチャンスは二度とない。最大の決め手はそこです。このビッグチャンスを逃したら、二度と来ないという意気込みでやろうということになりました」(橋本プロデューサー)
『ロード・オブ・ザ・リング』を手描きアニメーションで映像化するには、三部作でフロドが“旅の仲間”を集めたように、共に制作する多数のアニメーターが必要になった。「大海原へと繰り出す無謀な挑戦」とも表現した橋本プロデューサーは、神山監督からの印象的な言葉を明かす。「『セルアニメ制作は僕と橋本さん、最後まで二人だけで立っていても、アニメはできない』。当たり前なんですけど、結構刺さった言葉です。私たちがどれだけ『やりたい』と叫んでも、アニメーターやスタッフがいないと成立しない。そのぐらい苦労の道なんだとお話しされていました」