パリオリンピックに「丸腰」で挑んだ大岩ジャパン、スペイン戦の前半は高く評価できる
層の厚さがスペインとは違っていた。オーバーエイジの問題はともかく、あるレベルを超えた選手が、日本が5、6人だったのに対して、スペインはその倍はいた。試合運びに安定感があった理由だ。 スペインに勝とうと思えば、オーバーエイジの使用は大前提となるが、日本はそれをしなかった。誰が決断したのか定かではないが、欧州組がダメなら国内組で、という選択肢もあったはずだが、それさえも断念した。出場した16チーム中、唯一である。 つまり、日本の男子はこの舞台に丸腰で臨んだようなものだった。「メダルだ!」と気色ばむメディア報道も目立ったが、筆者はベスト8に入れば御の字だと見ていた。 ブックメーカー各社の評価も当初は7、8、9番手あたりだった。ベスト8に進むかどうか、微妙なチームだと見られていた。しかし、ベスト8が出揃うとブックメーカーは日本を5番人気に据えた。グループリーグ3連勝を評価した結果だろうが、ブックメーカーの目はアテになるものと考える筆者にとって、この5番目という順位は順当に映る。 引いた視点で考えれば、丸腰で臨みながらの「5位」は評価されるべき結果だろう。ユーロ2024を制したばかりの欧州チャンピオン、スペインに勝ったら、大事件、大番狂わせだったのだ。攻撃的な正統派のサッカーを披露した大岩ジャパンを、日本サッカーの普及発展に貢献するプレーぶりだったと評価したい。
杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki