村社祐太朗のAAF戯曲賞受賞作「とりで」出演者募集、3月に試演会も
第22回AAF戯曲賞受賞記念公演「とりで」が来年12月19日から21日に愛知・愛知県芸術劇場 小ホールにて開催される。 【画像】「とりで」ワークインプログレス試演会のティザービジュアル(他3件) AAF戯曲賞は、愛知・愛知県芸術劇場が主催する戯曲賞。「戯曲とは何か?」をテーマに、次代を担う劇作家・戯曲の発掘を目指す。「とりで」は、第22回AAF戯曲賞大賞に選出された村社祐太朗の作品で、澄井葵と羽鳥嘉郎、それぞれの演出により作品が立ち上げられる。 なお本公演の出演者を募集中。応募は12月7日12:00まで受け付けられる。また「とりで」のワークインプログレス試演会は、来年3月15日に愛知県芸術劇場 大リハーサルで行われる予定だ。作品についての村社、澄井、羽鳥のコメントは以下の通り。 ■ 村社祐太朗 コメント 「とりで」で描きたかったのは、「陸の孤島」と呼ばれる都内各所に浮かぶ住宅地の空気です。沿線と比べ地価が上がらず、のらりくらり守ることができた家には、少し前までそこに住んでいた子どもや孫が頻繁に顔を出します。しかし着実に同居者が減り、空き部屋の増えたその家をぼーっと眺める時間が増えると、そこに住まう60代前半から70代前半のまだ介護の必要のない健康な大人たちには、独特な孤独が押し寄せます。それは喧騒の只中で、突然音だけが聞こえなくなったような、見えない壁に囲われてしまったような孤独ではないかと想像します。砦(とりで)は小さな城のことですが、それはしばしば敵の侵攻の盾となります。先に書いた家もまた、例えばミニスーパーが一つ町に建つことを拒んでいるようにも見えます。 ■ 澄井葵 コメント 人ん家 ( ひとんち ) というものが昔から不思議だった。うちのご飯の味と違うとか、家の匂いが違うとか異世界のようだった。仲の良い友達から、うちにない生活の立ち振る舞いが出ると戸惑った。自分のうちは当たり前しかない。人ん家で私は身動きが取れないし、取らない方が良いと知っている。この前実家に帰ったら食洗機が取り付けられてて人ん家みたいだった。「とりで」の身動きできない当たり前を、私と一緒に考えてくれる人がいるならとても嬉しいです。 ■ 羽鳥嘉郎 コメント 知らないことだらけでいる俳優を観に、われわれはいくつもの上演に立ち会ってきたのではなかったか、と去年ある文章に書き入れました。 「とりで」という戯曲にそれをあらためて考えさせられています(ぜひ戯曲を読んでみてください!)。演劇をするのがはじめての方でも、思うように言えないことがあっても、まったく構いません。演劇経験者の方ならば、自分がやってきたことをもう一度見つめなおす機会として、使ってもらえると思います。 ■ 第22回AAF戯曲賞受賞記念公演「とりで」 2025年12月19日(金)~21日(日) 愛知県 愛知県芸術劇場 小ホール □ スタッフ 作:村社祐太朗 演出:澄井葵 / 羽鳥嘉郎