小林涼子さんに聞く「日本の食と農」 おいしい未来を一緒に
旬の食材を紹介するラジオ番組に出演しています。全国各地の農産物が好きですが、毎日食べたいと思うのはお米です。ラジオ前には必ずおにぎりを食べていて、映画やドラマのロケ現場でもおにぎりが配られます。私の体になじんでいて、一番フラットな気持ちで仕事に入れる朝食がおにぎりなんです。 【動画で見る】小林涼子さん、農家へのメッセージ 自分が作っていることもお米が好きな理由の一つです。10代、20代と駆け抜けてきて、自分が俳優業に疲れていた時、家族の勧めで父の友人の稲作を手伝い始めました。新潟の濁沢という場所です。 田植えといっても、苗箱の洗浄からトラクターの運転まで、いろいろな作業があるんですよね。農家さんたちは、私にできる仕事を切り分けて教えてくれて、できるようになると少し作業を増やす、といったふうに寄り添ってくれます。輪に入って一緒に農業をすることが楽しくて、大きなプロジェクトに入っているみたいです。 家族の体調不良やコロナ禍で、手伝いたくても新潟に行けなかった時に、続けたくても続けられないことがあると気付きました。続けられなかった場合、農業はどうなるんだろうかと危機感を抱いて、自分一人ではできないし、どうすればいいかなと考えた結果、起業という選択肢を取りました。農園でエディブルフラワーやハーブの栽培、魚の養殖をしています。 農業をしたことがない私にも作業を任せてくれたことが、いろいろな人が農業に携われる農福連携を目指す原点かもしれません。エディブルフラワーを育てるには、すごく細かい作業が必要で、障害者の方々は上手な人が多いです。高齢者、障害者、女性といった枠組みではなく、一人一人ができることにフォーカスした仕事づくりの方法が、農福連携だと思います。 農業に携われば携わるほど、おいしい食べ物を作ることは難しいなと感じます。私もできることを頑張り、一緒においしい未来をつくっていきたいです。 (聞き手・岸康佑)
日本農業新聞