次期通常国会に合理的な価格形成などの法案提出/農林水産省
農林水産省は12月13日の自民党農林合同に、合理的な費用を考慮した価格形成について検討の方向性を報告・了承された。「コストを考慮した食品の価格形成の実現」と「食品の付加価値向上などの取り組み促進」の2本柱で次期通常国会に法案を提出する予定。コストに考慮したのみの価格形成だけでは、消費者には単なる値上げとなってしまい、理解を得にくい。そのため、国産原材料の活用や、環境負荷低減の取り組みなどの付加価値向上の取り組みを支援することで、価格形成と持続的な食料システムの発展という表裏一体の取り組み法制化する。 食品の合理的な費用を考慮した価格形成には〈1〉サプライチェーン全体でのコスト把握・明確化〈2〉コストを考慮した取引の実施〈3〉消費者の購買力の確保――が必要と整理。このうち〈3〉は政府を挙げて、賃上げによる購買力の確保などを進める。次期提出法案では、〈1〉〈2〉のBtoB取引について法制化する。具体的には〈2〉では売り手・買い手の価格は最終的には当事者間で決定されるが、最終決定までに売り手の費用の説明(明確化)に対し、買い手が費用を考慮、価格の検討を進める。
図(「コストを考慮した食品の価格形成の実現」(具体的措置))のように、このコストの明確化・考慮を努力義務にする。そして農相が努力義務に対応した行動規範(判断基準)を省令などで明確にし、問題となる場合(取組が不十分)には指導・助言→勧告・公表→公正取引委員会への通知――を段階的に措置する。 問題となり得る例は▽補助金などの支援措置を理由に当該支援分の値引き要請▽価格交渉の拒否、過度なコスト詳細の内訳提出、▽コストを著しく下回るセールなどの状態――など。 持続的なシステムの確立では、国が基本方針を策定し、食品事業者が方針に即した計画を作成し、▽農林漁業者との安定的な取引関係の確立▽流通の合理化▽環境負荷低減等の促進▽消費者の選択への寄与▽技術の開発・利用の推進▽これらのための事業再編▽関係者によるプラットフォームの構築・連携促進の計画――に対して、日本政策金融公庫による低金利融資、税制特例などにより企業の取り組みを支援する。
食品産業新聞社