秋の味覚マツタケがピンチ 熊本有数の産地・天草で深刻な「松枯れ」影響で収量減か
KKT熊本県民テレビ
天草地方の広い範囲で、松の木が異常な暑さや虫の影響で、一部が茶色く枯れる「松枯れ」が起きました。その松の木と切っては離せない関係なのが、秋の味覚マツタケです。熊本県内有数のマツタケの産地でもある天草で、松枯れの影響はどこまで出ているのでしょうか?
25日、天草市にある本渡青果市場。競りにかけられていたのは、秋の味覚の代表格マツタケです。今年は暑さや雨の量が少なかったことから、競りのスタートは例年より3週間ほど遅くなりました。 ■競り落とした店の担当者 「出たら競り落としてくれという人がおらすとですよ。1年に1回は食べたかっていう人がいますから」 この日は1キログラムあたり、高いもので約10万円で競り落とされました。しかし実は、天草のマツタケがピンチに直面しているのです。
■本渡青果市場 猪口順二さん 「松の状況がほとんど枯れが進んでいる状況で、マツタケ自体もだいぶ減ると思います」
天草地方の広い範囲で進んでいる松枯れ。実際に10月、苓北町の海沿いを取材すると…。 ■地元の人 「余計に今年は枯れている」 60本ほど並ぶ松の中には茶色くなった木が。松枯れと呼ばれる現象です。
原因とみられるのがマツノザイセンチュウという体長1ミリにも満たない線虫です。木の中で水や栄養分を吸い上げる働きを妨げ、松を枯らすといいます。
現場を見た樹木医は、暑さで木が疲れたところに線虫が入ったとみています。 ■樹木医 今村順次さん 「例年よりもかなりひどい。本数も多いし、集団的に発生している」
樹木医の今村さんによりますと、マツタケはアカマツの根っこに菌糸を作って育つため、切っては離せない関係です。つまり、線虫などによって松枯れが広がると、マツタケの収穫量も減ります。線虫は松の木の根っこから別の木にも移動するため、枯れたら早めに伐採しなければいけません。
この松枯れに、競りに参加した人も心配を募らせています。 ■競り落とした店の担当者 「今年の異常気象とかもあるんでしょうけど、(競りに)出たので安心しています」 Qマツタケが無くなる心配は? ■競り落とした店の担当者 「ですね。松の木がなかったらですね」
本渡青果市場では毎年、10キロほどのマツタケを仕入れていますが、今年は例年よりも確実に減るとみています。秋の味覚マツタケが天草から消えないために、早めの対策が求められます。