親が「相続対策」と言って毎月「現金5万円」をくれます。ありがたいのですが、本当に税金は大丈夫なのでしょうか? あとで脱税していたことにならないか不安です…
相続税を心配しなければならないほどの資産がある人は、高齢になると子どもへ生前贈与を行うことで相続対策をする場合があります。生前贈与は将来の相続財産を直接的に減らせる方法であり、相続対策として非常に有効なのですが、注意が必要な点もあります。 本記事では、親が子どもに毎月5万円の現金を渡しているケースを取り上げ、贈与と相続の観点から問題点がないか解説します。 ▼亡くなった母が私名義で「500万円」を遺してくれていた! 名義は自分でも「相続税」はかかる?
【贈与】毎月5万円の現金贈与には贈与税はかからない
他人へお金を渡す行為は「贈与」に該当し、贈与税の対象になります。ただ、1年間(1月1日から12月31日まで)に110万円以下の贈与であれば、基礎控除額の範囲内であるため贈与税はかかりません。毎月5万円であれば年間でも60万円なので贈与税はかかりません。もちろん贈与税の申告も不要です。 なお、月9万円以上贈与する場合には、年間110万円を超えて贈与税がかかる可能性があるので注意しましょう。 ■生活費の援助であれば110万円を超えても非課税 親が子どもに毎月5万円を渡している目的が、子どもの生活費や教育費の援助である場合には、年間110万円の非課税枠は関係なく、全額が非課税となります。ただし、「生活費」とは通常の日常生活に必要な費用のことを指し、お金が必要な事案が発生した際に都度渡されるものでなければならないことに注意しましょう。 例えば、子どもの生活費が毎月10万円足りないので、親が毎月10万円援助した場合、年間の贈与額は120万円になりますが贈与税はかかりません。
【相続】相続税はかかる可能性あり
相続税の計算には「生前贈与加算」という制度があり、被相続人が死亡した日から3年前の日の間に行われた贈与については、相続財産として取り扱わなければなりません。 つまり、相続対策として贈与を行っていても、3年以内の贈与については相続財産として扱われ、贈与としては扱われないということです。親が子どもへ毎月5万円の贈与を死亡まで続けた場合、死亡日から3年前の間に受け取った180万円分については、贈与はなかったものとして相続税の対象になる点に注意しましょう。 なお、相続財産の価額が、相続税がかかるほどではないという場合には、相続税の計算自体行われないので、生前贈与加算の問題は関係ありません。