ヒューマノイド ロボットがクルマを作る。メルセデス・ベンツが生産工場に試験導入へ
ロボットと人間が助け合いながら働く時代が到来
2024年3月15日、独メルセデス・ベンツと米Apptronik(アプトロニック)はメルセデス・ベンツ車の製造施設に、ヒューマノイドロボット(ヒト型ロボット)の導入にむけて提携することを発表した。作業員の肉体的負担や反復的な単純労働の軽減、労働力不足の解消などの活用が見込まれている。 【写真】メルセデス・ベンツが導入するヒューマノイドロボットをもっと見る ヒューマノイドロボットと言えば、ホンダのASIMOが嚆矢。残念ながら2022年3月に事実上の引退となった(ロボティクス技術の開発は継続中)。一方、テック関連業界では数々のロボティクス・スタートアップが誕生し、各方面でその応用技術がすでに採用されている。 今回、メルセデス・ベンツと提携を結んだのは、米テキサス州オースティンに本拠を構えるApptronik(アプトロニック)社。テキサス大学オースティン校のヒューマノイドロボティクス研究所を母体に2016年に設立された、業界では知る人ぞ知るリーディングカンパニーだ。NASA(米航空宇宙局)との提携を始め、自動車メーカーや輸送・物流会社にソリューションと産業用・汎用ロボットを提供している。 今回の提携でメルセデス・ベンツ工場に導入されるのは「Appolo(アポロ)」と名付けられた汎用ヒト型ロボット。2023年8月に発表され、歩行型と据え置き型の2タイプがある。 Appoloは人間と一緒に働くことを前提に開発された。歩行型の身長は5フィート8インチ(約173cm)、体重160ポンド(約73kg)。商業用では初となる人間とほぼ同じサイズのヒト型ロボットで、およそ25kgまでのモノを持ち上げることができる。 人と一緒に作業するにあたり、安全な操作を維持する独自の力制御アーキテクチャーが採用され、サードパーティによるソフトウェアの追加により現場に適した動きにカスタマイズすることが可能だ。まずは倉庫や各種製造工場での単純作業を皮切りに、近い将来は建設現場やデリバリー、介護分野にいたる幅広いフィールドでの活躍を目指している。