なぜ北朝鮮はミサイル実験するのでしょうか? 多額の費用かけて開発する意味とは 国が滅ぶかもしれないのに
ICBMって何の略?
北朝鮮は2024年10月31日の正午すぎ、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の立ち合いのもと、同日の午前中にICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射したと発表しました。11月1日にはこのミサイルがなお、日本の防衛省もこのミサイルが「ICBM級と考えられる」と見解を示しています。 【動画】実戦で使われると世界が危険…これが、移動式発射台から射出されるICBMです 11月1日には北朝鮮が新型ICBM「火星19号」だと発表したこのミサイルですが、報道ではアメリカ大統領選を意識し「大統領が誰になろうとICBMの能力を示したい」という狙いがあったとされています。なぜ、ICBMは国の力を誇示する兵器になるのでしょうか。 そもそもICBMとは「intercontinental ballistic missile」の略称で、日本語では大陸間弾道ミサイルと記されます。元々はアメリカとソビエト連邦(以下:旧ソ連)による東西冷戦下で生まれたミサイルの分類で、1969年に始まり1972年に合意に達した戦略兵器制限交渉では「アメリカ合衆国本土の北東国境とソ連本土の北西国境を結ぶ最短距離である5500km以上の射程を持つミサイル」と定められています。 世界で最初にICBMを作ったのは旧ソ連で、1957年5月15日に発射されたR-7が世界初のICBMといわれています。このミサイルはロケットにも転用され、世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げにも使われました。ちなみに、アメリカは1959年から配備された「アトラス」が同国初のICBMになります。 ICBMのどういった部分が脅威かというと、その射程も理由のひとつにはなるものの、最も驚異なのはミサイルが積む弾頭そのものです。ICBMは誕生当初から核攻撃を想定して開発されており、核弾頭の搭載が前提です。 このミサイルの登場により米ソ両国はわざわざ大型の戦略爆撃機に核爆弾を積んで敵本土を攻撃する必要性がなくなりました。 その後、ICBMに関しては中国も保有するようになったほか、インドも2012年に発射実験に成功した「アグニV」を配備しており、イスラエルも持っていると言われています。そして、このICBM保有国の中に、北朝鮮が新たに追加されようとしています。 なお、イギリス、フランス、パキスタンも核の搭載が可能な弾道ミサイルを所有していますが、英仏は潜水艦発射型の弾道ミサイルであるSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)に核戦力を集中させ、パキスタンは隣国であるインドを攻撃可能な中・短射程の弾道ミサイルに核弾頭を搭載させています。