下水汚泥から燃料を製造 石炭の代替として利用 新施設が大分市に完成
下水処理で生じる沈殿物の汚泥を燃料に変える施設が大分市に新設されました。環境に配慮した新たな取り組みの効果に期待が寄せられています。 【写真を見る】下水汚泥から燃料を製造 石炭の代替として利用 新施設が大分市に完成 大分市志村に建設され、10月1日から稼働が始まった下水汚泥の燃料化施設。およそ8300平方メートルの広さで、建設費は54億円ほどです。 通常、下水処理をする際は下水の中の汚れを微生物に食べさせて水をきれいにします。この時に活用した微生物が沈殿したものが下水汚泥です。 (下水道施設管理課 太田恵参事)「今までも下水汚泥をセメントの原料として再利用していた。この施設ができて、石炭の代替燃料として利用できるようにする」 大分市は将来的な下水汚泥の増加、セメント工場への運搬コスト削減や地球温暖化防止などの観点から汚泥の燃料化事業を始めました。施設では、大分市のほか、別府市など県内9つの自治体から1日で90トン分の汚泥の受け入れを予定していて、25トン分の固形燃料の製造を見込んでいます。 運ばれてきた汚泥はミキサーで粒状にしたあと、ドラム内で10分ほど乾燥させ、含まれる水分量を8%の状態にします。 (日鉄エンジニアリングプラント本部 大泉雅伸シニアマネジャー)「石炭の3分の2ほどのカロリーがあって、発電所などで有効利用されています」 完成した燃料は、大分市内の2か所の製造工場で、石炭の代わりの燃料として発電などに用いられています。 下水汚泥から作られた燃料は、生物由来の資源を活用していて、石炭などの化石燃料を燃やした場合と比べ、大気中のCO2の増加を抑えることができます。 今回の事業全体でも1年間でおよそ2880トンのCO2排出を削減できる見通しです。 (下水道施設管理課 太田恵参事)「CO2削減効果が見込まれる市民生活で出た下水を燃料として発電し、市民がその電気を使うことで循環型社会に貢献できる」 県内では初めてとなる新たな取り組みで、循環型社会の実現に向けて期待が寄せられています。
大分放送