「ステランティス」出資の新銘柄 リープモーターC10へ試乗 力強い加速に感心 平均以下の部分も
感心するほどスムーズでパワフルな加速
C10の加速は、感心するほどスムーズでパワフル。これは意図的に与えられたもののようだ。息を呑むほど鋭く速度上昇するわけではないが、静止状態からでも走行中でも、充分以上といっていい。0-100km/h加速は、7.5秒が主張される。 回生ブレーキは、4段階から選択可能。ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブにも対応するが、停車した状態で予め選んでおく必要がある。 コンフォート・モード時は、ステアリングホイールが不自然なほど軽くなる。一方でスポーツ・モード時は、ファミリーSUVへ不釣り合いなほど重い。デフォルトのスタンダード・モードが、適度な重さでちょうどいい。どのモードでも、感触は薄いけれど。 試しに、スポーツ・モードで路面が濡れたワインディングを飛ばしてみた。トラクションは不足気味といえ、ヒヤッとする場面も何度かあった。家族との移動を楽しむファミリーSUVだから、そんなに気張って運転されることは稀なはずだが。 サスペンションは、もっと洗練させたいところ。滑らかな路面ではフラットな印象だが、アスファルトの剥がれた穴などを通過すると、落ち着きへ影響が出てしまう。凹凸が目立つ高速道路では、次のインターチェンジまでに少し疲れてしまった。 急速充電能力は最大で84kWと、最近のこのクラスでは遅い方。残量10%から80%まで回復するのに、最短で40ほど必要になる。ちなみに、モデルYは最大250kWへ対応している。
魅力はゼロではない 平均以下の部分も
ステランティス・グループの後ろ盾で、欧州市場へ参入したリープモーター。中型の電動SUVとして、C10に魅力がないとはいえないだろう。 シンプルなスタイリングの印象は良いし、車内空間は広々。家族でゆったり移動できるSUVを、安価に購入したいユーザー層の共感は得られるだろう。 ただし、インフォテインメント・システムの操作性や乗り心地は、平均以下といわざるを得ない。航続距離や充電速度も、強みとするには物足りない。コストパフォーマンスが重視される新ブランドが故に、欧州での競争は楽ではなさそうだ。 ◯:比較的手頃な価格と充分な航続距離 広々とした車内 △:タッチモニターへ集約されすぎた車載機能の操作 ライバルに届かない乗り心地と操縦性
リープモーターC10(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万6500ポンド(約701万円) 全長:4739mm 全幅:1900mm 全高:1680mm 最高速度:170km/h 0-100km/h加速:7.5秒 航続距離:421km 電費:4.9km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1980kg パワートレイン:永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:69.9kWh 急速充電能力:84kW 最高出力:218ps 最大トルク:32.5kg-m ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)
クリス・カルマー(執筆) 中嶋健治(翻訳)