運命の「オーストラリア戦」で日本代表に死角はあるか サウジ戦“完封勝利”でも光った森保一監督の入念なプラン
森保監督の見事な対策
そして中東稀代のドリブラーは突破に時間がかかるぶん、遠藤航がプレスバックしたり、CB板倉滉がカバーリングしたりするなど「組織的な守備」で対抗。後半は南野に代えて伊東を投入しつつ、堂安を前に出してサレム・アルダウサリには伊東をぶつけることで無力化した。 マンチーニ監督は0-1のビハインドの後半開始から、本来は右MFの主力である快足ウインガーのサレハ・アルシェハリを起用したものの、三苫と左CB町田浩樹を脅かすにはいたらない。たぶん森保監督は、アジアカップの戦いからマンチーニ監督の手の内を、サウジアラビアの攻撃パターンを、あらゆる角度から分析し、様々なプランで対策を講じていたのだろう。 監督として当然のことと言ってしまえばそれまでだが、見事なサウジアラビア対策でもある。あとは、右サイドに固定ではプレーが窮屈に感じられる南野の生かし方をどう改善していくのか。サウジアラビア戦ではセンター寄りにポジションを移したり、堂安の外側に周り込んでパスコースを作ったりしていたが、ダミーの動きは彼本来のプレーではないだろう。 堂安、南野、久保、そして鎌田大地をどう組み合わせて生かすのか。アジア最終予選はもう勝つのが当り前で、選手の組み合わせが気になるほど日本の実力は図抜けていると言っても差し支えないだろう。果たしてオーストラリア戦のスタメン、前線の顔ぶれはどうなるのか。上田綺世に代わり小川航基がスタメン出場を果たすのかなど、こちらの方が気になる森保ジャパンでもある。 六川亨(ろくかわ・とおる) 1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。 デイリー新潮編集部
新潮社