変動型で住宅ローンを借りていますが、政策金利上昇に伴い返済額が急増するのではと心配です。返済額が急増した場合、なにか対策はあるのでしょうか?
日銀が2024年7月に政策金利を0.25%に引き上げたことに端を発して、日本の金融市場は大きな変革期に入ったようです。株価の暴落や反騰の動きと共に、より多くの人に影響を及ぼすのが、変動型住宅ローンの問題です。 今回は、政策金利の引き上げによって、変動型住宅ローンについて今後どのような影響が起きるのか考えてみましょう。 ▼住宅ローンは「繰上げ返済」すべき? メリットについて解説
住宅ローンの金利の種類
住宅ローンの金利は、取扱金融機関によって違いはありますが、主に「変動型」「固定期間選択型」「全期間固定型」の3つの種類があります。本項で、その内容を見てみましょう。 変動型:一般的に年2回ローン金利が見直され、金利情勢が変わると、ローンの利率も変わるものです。金利の変動に伴って返済額が変わることになります。なお、これまで、変動金利型の金利が低く、固定金利型の金利が高くなっています。 固定期間選択型:変動金利型と固定金利型の特徴を併用するものです。当初5年、10年、10年超など一定期間は固定金利で、その期間が終了すると再度固定金利や変動金利が選べるタイプです。 固定金利型:全期間金利が固定されるので、返済額が変わることはありません。 【図表1】
※住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】」に基づき筆者が作成 また、住宅ローンの金利タイプ別の利用状況については、2020~2023年の3年間においては、変動型が増え、固定期間選択型と全期間固定型が減少していることが分かります。
変動金利型の具体的な内容
住宅ローンの金利は、次のような流れで決められています。図表2の例は、最近のメガバンクにおける変動型住宅ローン金利の例です。 【図表2】
※株式会社三菱UFJ銀行「住宅ローン金利」に基づき筆者が作成 図表2の各金利の決まり方は、以下の通りです。 政策金利:日銀が金融政策決定会議で決めます。 短期プライムレート:各金融機関が政策金利を元に自主的に決めるもので、優良企業向けの短期(1年未満)融資に際して適用する金利のことです。 基準金利:各金融機関が短期プライムレートに上乗せした金利のことで、年2回見直されます。いわば、商品の標準価格のような位置づけです。 優遇金利:基準金利から、個別の状況に応じて割り引いて実際に適用される金利で、割引に相当するものです。 適用金利:実際の返済に際して適用される金利です。 現在は、基準金利のなかで優遇金利のウエイトが高いので、金融機関はさまざまな顧客の状況を想定して、実際の適用金利を決める仕組みになっているといえるでしょう。 そして適用金利は、それら全ての優遇条件が適用された場合の最低金利を表示しているということです。そのため、適用金利は、銀行のホームページや印刷物に表示される場合は、「○○%~」という表示になっているのでしょう。