秋こそ駆け抜けたい!“鉄ちゃん”サイクリストも大満足のコース 和歌山・紀の川サイクリングロード
“鉄っちゃんアナ”としても親しまれる鉄道通のフリーアナウンサー・羽川英樹さんのラジトピコラム「羽川英樹の出発進行!」。今回は、サイクリストとして、自ら和歌山・紀の川サイクリングロードにチャレンジした体験記をつづります。それでは、出発進行! 【写真】「紀の川サイクリングロード」のようす ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 関西でのサイクリングコースといえば、琵琶湖一周(ビワイチ)210km、淡路島1周(アワイチ)150kmなどが有名ですが、どちらも簡単に挑戦できる距離ではありません。 筆者も60歳代まではこの両方を何度も完走しましたが、70代に突入し、もう少し楽な距離でのんびり半日走れるところはないかと検索。そこでヒットしたのが、和歌山にある「紀の川サイクリングロード」でした。 初級レベルの49kmコースに挑むべく、前の晩からマイカーにクロスバイクを積み込んで、和歌山市内のホテルに宿泊。翌朝、和歌山市の紀の川北岸にある和歌山市民スポーツ広場から出発しました。 秋晴れ・気温22℃という絶好のサイクリング日和。ここから紀の川沿いを東に向かい、岩出・粉河方面に進んでいきます。そして今回の道中の楽しみの一つは、鉄道各路線の鉄橋や駅に出会えることなんです。 まずはいきなり、南海本線・加太線の橋梁をくぐります。『和歌山市』~『紀ノ川』間にかかる全長628mの鉄橋はじっくり見ないと損ですよ。なんせ上りと下りでフォルムが微妙に違うんです。 奥の下り線(和歌山市方面行)は、1903(明治36)年に完成した、やや直線的なフォルム。一方、手前の上り線(なんば方面行)は、1922(大正11)年の複線化で誕生した、曲線の混じったフォルム。明治・大正の2つの時代の赤いワーレントラス橋が並ぶ光景は、まさに“鉄ちゃん”必見のスポットです。 そこからしばらくは紀の川下流沿いの専用道を、秋風を受けながら進みます。すると、次に出会えるのがJR阪和線『紀伊中ノ島』~『六十谷』間にかかる紀ノ川橋梁(全長480m)です。ここは1930(昭和5)年に阪和線が和歌山まで延伸した時に架けられ、2009(平成21)年に三角形が美しく連なるトラス橋に架け替えられました。 その後、阪和自動車道・和歌山バイパスをくぐり、岩出市に入ると、JR和歌山線『船戸』~『岩出』間に架かる紀ノ川橋梁に遭遇。1900(昭和5)年完成の全長265mの橋梁がのどかな風景の中に浮かび上がります。和歌山線は日中60分ごとの運行なので、走行中の列車と出会えたのはとてもラッキーでした。 15km地点で「あら川の桃」の産地の看板が見えてきたら、いったん紀の川に別れを告げ、南下します。ここから紀の川の支流の貴志川に沿って進むと、25kmの中間地点は「たま電車」でおなじみの和歌山電鐵の終点・貴志駅(紀の川市)なんです。猫をかたどったユニークでかわいい駅舎。あいにく、「たまII世駅長」を襲名したウルトラ駅長「ニタマ」は昼休憩中でしたが、ホームには「チャギントン電車」がとまっていました。 「チャギントン電車」に乗ってみたい気持ちを押さえつつ、後半戦のスタート。貴志駅からは和歌山電鐵と並行しながら走って31km地点が、伊太祁曽(いたきそ)駅前です。この駅には和歌山電鐵の本社と車両基地があるので小休止をとって、しばし滞在します。 伊太祁曽駅からは一般道を北上。ここで初めてアップダウンや峠越えのトンネルとも遭遇し、40km地点で再び紀の川に合流します。 ちなみに紀の川は、奈良の大台ケ原を源とし、奈良では「吉野川」を名乗り、和歌山に入って「紀の川」に名前が変わる、全長135kmの母なる川なんです。 スタートから4時間(休憩含む)ほどで約50kmを走って、スタート地点だった和歌山市民スポーツ広場に無事帰着。紀の川の雄大な流れを眺めながら、いろんな鉄道施設とも出会える「紀の川サイクリングロード」初級者コースを満喫しました。 和歌山県ではほかにも、海の絶景・白崎海岸と湯浅コース、日高川・煙樹ケ浜コース、白浜・周参見コースなど、さまざまなコースが整備されています。また、私が体験した紀の川コースでは、ほかに中級74km、上級136kmなども設定され、各地でのレンタサイクルも充実しています。この秋、走りたい景色や体力に合わせて、好きなコースにぜひチャレンジしてみてください。(羽川英樹)
ラジオ関西