遺志継ぎ富士写ケ岳の標柱新調 山中山岳会、20日に山頂設置 名誉会員・曽和さん作が老朽化
加賀市の山中山岳会は20日、市出身の作家深田久弥ゆかりの富士写ケ岳(ふじしゃがだけ)(942メートル、同市)の山頂に新たな標柱を設置する。現在の標柱は10年前に亡くなった元建具職人の名誉会員が晩年に製作し、2016年に設置されたが、昨年5月に老朽化で折れているのが確認された。名誉会員の遺志を受け継いで新たな、しるべを立て、ふるさとの山を守り伝えていく。 【写真】曽和さんが生前に製作した標柱=今年2月、加賀市の富士写ケ岳山頂(宮下さん提供) 現在の標柱を製作したのは14年1月に83歳で亡くなった曽和昌成さん=山中温泉下谷町。山中山岳会を引退する晩年に建具職人の技を生かし、富士写ケ岳、大日山(だいにちざん)(1368メートル)、菅倉山(すがくらやま)(923メートル)、蟹ノ目山(がんのめやま)(689メートル)、同市と小松市にまたがる鞍掛山(477メートル)の標柱5本を手作りした。当時の会員によってそれぞれ山頂に設置された。 会員の宮下由美子さん(57)=動橋町=によると、富士写ケ岳山頂では昨年5月ごろ、折れた現在の標柱が誰かの手で隣の方位盤にくくり付けられていることが確認された。 富士写ケ岳は、登山家のバイブルとされる「日本百名山」を著した久弥が11歳の時に初登頂した山として知られる。登山を楽しむ家族連れの姿や、駐車場に県外ナンバーも多い。シャクナゲ群生地が見頃の5月、紅葉の秋は登山者が増え、白山を遠望できる山頂での記念撮影に標柱は欠かせない存在だ。 新しい標柱は高さ200センチ、15センチ角のクリの木製。20日に会員と一般の協力者らで標柱を山頂に設置する。山中山岳会長の山本浩平さん(64)は「多くの人に加賀の山を知ってもらい、親しんでほしい」と話した。