UAゼンセンの賃上げ目標は「6%基準」、パート7%目安-25年春闘
(ブルームバーグ): 中小企業が7割を占める国内最大の産業別労働組合UAゼンセンは6日、2025年春闘で正社員とパートなどを合わせた全体の賃上げ目標を「6%基準」とする方針を示した。持続的な賃金上昇に向けて大企業と中小企業との格差是正が意識される中、24年と同水準の賃上げを目指す。
発表によると、基本給を引き上げるベースアップ(ベア)で4%、定期昇給を含めて6%を要求する。全体の6割余りを占めるパート従業員ら短時間組合員は7%を目安に引き上げる。
UAゼンセンは25年の要求方針の策定に向けた協議「政策フォーラム」を同日開始。来年1月16日の中央委員会で機関決定する。24年の春闘は6月末時点の妥結状況で正社員の賃上げ率が4.95%、パートは5.75%となっている。
日本最大の労組の全国組織である連合は先月18日、25年春闘の基本構想で今年と同じ水準の「5%以上」の賃上げを目指す方針を発表した。中小の労組については企業規模による格差是正分を加え、6%以上の賃上げを要求する。持続的な賃金の上昇を実現するには、中小企業やパート従業員を含む非正規社員の底上げが鍵となる。
課題はコスト上昇分の価格転嫁だ。石破茂首相は先月30日開催された新しい資本主義実現会議で、労務費の価格転嫁を徹底するため、実態調査と結果に基づく改善を年内に完了するよう所管省庁に求めた。コストが上昇する中での価格の据え置きなどにも対応するため、下請代金法(下請代金支払遅延等防止法)改正の早期実現を目指すとしている。
追加利上げのタイミングを探る日本銀行も賃上げの動向を注視している。日銀の安達誠司審議委員は先月の会見で、25年春闘の賃上げは「少なくとも今年並みが欲しい」との期待を示した上で、連合の第1回回答集計が一つの大きな判断基準になるとみている。
連合によれば、人手不足や物価高が続く中で行われた24年春闘は、自動車や電機など大手企業中心に満額回答が相次ぎ、平均賃上げ率は5.10%と33年ぶり高水準を実現した。組合員300人未満の中小組合は4.45%だった。
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Hiroyuki Sekine, Erica Yokoyama