自民「議会軽視」と追及 琉球新報への無利子貸与
県が琉球新報に輪転機の更新費用として約8億5千万円を長期無利子貸与する一般会計補正予算案を巡り、県議会総務企画委員会(西銘啓史郎委員長)では11日、自民党が批判を強めた。予算案通過を待たず輪転機が稼働していることから「議会軽視だ」などと追及した。 県による琉球新報への無利子貸与は、一般財団法人地域総合整備財団の「ふるさと融資」制度を活用し、同財団を通じて行う。 県によると返済期間は10年。県は貸付金の財源として地方債を発行し、利子相当額として4千万円を負担するが、75%は地方交付税で措置されるため、実際の負担額は1千万円になる。 貸し付けの実行には県議会の予算案可決と、県の調査依頼を受けた同財団の貸し付けを認める報告が必要になる。現時点ではいずれも得られておらず、武田真企画部長は「(手続きを)同時並行して進めている」と説明した。 同財団の報告は11月に予定されている。貸し付けに否定的な報告が出た場合について武田部長は「仮に調査結果が厳しいと、貸し付けを判断するのは難しい」と述べた。ただ、過去に申し込みに至った案件で、貸し付けに否定的な調査結果が出た事例はないとした。 琉球新報の新たな輪転機は今年8月から稼働している。自民党からは「議案が可決か否決か分からない中で稼働するのを容認するのか」と疑問視する声が出た。 武田部長は「議会の議決と財団の調査結果がそろわないと融資できない。事業者はリスクを取っており、その説明もしている」と理解を求めた。 貸付金を盛り込んだ予算案の上程は庁内の貸付要綱に沿って進めているとして「議会軽視と言われないよう、貸付要綱の見直しも検討したい」と答弁した。 琉球新報への貸し付けが地域振興に資すると判断した理由については、印刷作業の高速化で過疎地域への配達時間が早まり、インターネットを使えない高齢者などへの情報伝達が期待されることを一例に挙げた。 県は1990年から「ふるさと融資」に取り組み、県内では新聞社、テレビ局も含め86件の利用実績がある。同財団のデータベースによると、県内の新聞社、テレビ局は施設建設などで貸し付けを受けている。 県が貸し付けを行う事業は5人以上の新規雇用を創出する必要があるが、今回の貸し付けに関しては、継続雇用を新規雇用とみなす特例を適用した。県は「全国的な人手不足の中、柔軟に対応するよう要件を緩和した」としている。