福島県教委「メタバースで教室」拡大へ、不登校児童・生徒サポート
福島県教委は新年度、不登校の児童や生徒を支援するオンライン教室を全県に拡大する。県内では2023年度に不登校となった児童生徒数が過去最多を記録するなど、支援の在り方が課題となっている。インターネットの仮想空間「メタバース」を活用して他者との交流や学習活動を後押しし、登校が難しい状況にある子どもたちの支援を強化する。 オンライン教室の名称は「不登校児童生徒支援センター(通称roomF=ルームエフ)」。不登校のオンライン支援を行う先進地の事例を参考に、23年度からモデル地区として福島と会津美里の2市町に導入。専任の教員がビデオ会議システムを使って子どもたちの学習支援や悩み相談に応じてきた。本年度はモデル地区を7地区に拡大し、新たにメタバースを導入。教育プログラムをメタバース上で選択できる仕組みを構築するなど、受け入れ態勢を段階的に整えてきた。現在は数十人の児童や生徒が登録している。 仮想空間上に開設されたルームエフには、イベントやオンラインで授業ができるスペースがあり、火ー金曜日まで時間割を設定し、教員免許を持つスタッフがクイズやゲームなどコミュニケーションを深めるプログラムのほか、オンライン授業で国語、数学、英語などの学習を支援している。子どもたちは名前や顔を出さずに、自分の分身となる「アバター」を操作して参加する仕組みだ。 文部科学省の問題行動・不登校調査では、県内の小中学校で23年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒が前年度比792人増の4338人で過去最多を更新し、初めて4千人を超えた。公立の場合では、小学校で61人に1人、中学校で15人に1人が不登校となっている状況で、学校に継続して通うことが難しい児童生徒に対する支援の仕組み作りが重要となっている。 県教委はルームエフを活用して学校への行きづらさや不安な気持ちを抱える児童生徒を支援したい考えで、メタバース上で行う教育プログラムの充実なども図る方針だ。 県教委は「孤立やひきこもりを防ぐためには、居場所や学びの場の確保が重要。これまでどこにも行けなかった子どもたちがせめてつながれるような環境にしたい」(義務教育課)としている。
福島民友新聞