ハラハラしたくない女たち 結末を先に知るのは悪……?
コンテンツでは疲れたくない
IT会社に勤めるKさん(27)は小学生の頃、ウイルスについてまとめた図鑑を読んだことがあった。エボラ出血熱などの病気について知り、その怖さに、夜寝られなくなった。「それがすごくトラウマみたいになってしまい、それからは人が死んだり、血が出たりするような映画などは見られなくなりました」 また、Kさんは感動系のコンテンツも見られない。非常に共感力が強く、泣けるコンテンツを見るとものすごく疲れる。特に社会人になって日常で忙しくなって、心が疲れるようになった分、余暇の時間に疲れたくないという気持ちがあるそう。 「別に仕事で感じる感情と、コンテンツで感じる感情がリンクしているわけではないですが、ただシンプルに、仕事をずっとしていると疲れるので、仕事以外で疲れたり、悲しくなったりする時間を過ごしたくないと思っています」 また、Kさんは例えば結末が分からないようなスポーツの試合を観るときは、ハラハラしないためにあえてどちらのチームを応援しないようにしている。「応援することがあるとすれば、もう絶対安定して勝ちそうだなと思ったチームにだけするって感じですね」 例えばフィギュアスケートだと、Kさんは羽生結弦さんを応援していた。「羽生さんは絶対王者、と言われているだけあって、ほぼ負けがなく安心して見られました」。ただし、とにかく安定感のある試合を観たいという気持ちなので、メダル候補だったとしても、ぎりぎり勝つといった展開だと最後まで見られないことがあるそう。 「今回のパリオリンピックは、負けそうになってはチャンネルを変えたくなって、を繰り返してました。結果が怖くて見られないので一旦寝て、翌朝起きてからニュースで結果を見るとか。本当はそういうハラハラな展開からも目を背けず、ちゃんと見届けたいという気持ちはあるんですが、選手の想いとか表情とか見ると、辛くなりすぎてなかなか最後まで見届けられないのです」 Kさんもニュースは暗いものでも、知ったほうがいい情報があるため、たまにチェックはしている。ただ、それでも、例えば戦争系のニュースは特に苦手なため、何がいつ起きたのか、という最小限の事実のみを見聞きする。殺人事件なども、なぜ起きたのかが気になる一方で、自分の知り合いがそういう目にあったら、とか、被害者の人の気持ちを考えると辛すぎて立ち直れないと感じるそう。そして日常生活に支障が出るといけないので、どうしても知りたいときは夫に情報を見てもらい、フィルターを通して教えてもらうこともあるという。