ハラハラしたくない女たち 結末を先に知るのは悪……?
登場人物に共感しすぎてしまう
Nさんも学生のころまでは、先に結末を見るようなことはしていなかった。まだガラケーを使っているような時代で、映画やドラマの要約サイトのようなものはあまりなかった。自分の周りでも、結末を先に知ってからコンテンツを見るという人はあまり見かけなかった。 「そのころまでは結末を先に知るのはなんとなく“悪”と思っていました。でも今は、要約サイトみたいなのも気軽にチェックできるようになって、結末を知ってからコンテンツを見るという人も一定数いて、別にいいじゃんと思うようになりました」 結末を先に知りたいのは、時短意識というわけでもない。コンテンツを早送りして見るというようなことはない。じっくり楽しみたいそう。「先に結末を知ったとしても、その過程は十分楽しめます」 コンサルティング会社に勤めるIさん(25)は、映画の「約束のネバーランド」は先に結末を調べてから改めて最初から全部を見たと言う。「この作品では、優しくて主人公にとってお母さんのようなキャラクターが登場しますが、その人が本当にいい人なのか、実は悪者なのか、わからないような状況が起きます。そういった、先行きが見えないような状況が苦手で、作品そのものを楽しめなくなるので先に結末を見てしまいます」。また、Iさんはそういった恐怖を感じるようなコンテンツでなくても「恥ずかしさ」を感じるコンテンツも苦手だそうだ。 「例えば、主人公がはた目からみて恥ずかしい行動をとったりするといたたまれない気持ちになる“共感性羞恥”もめちゃくちゃ感じるのです。そもそも、登場人物に共感し過ぎてしまうんですね」 しかし、現実の世界では、誰かの話に共感し過ぎて心が動かされるということはそれほどないそうだ。「例えば友達が泣いたりしても、すごく共感するタイプという感じではなくて、普段はどちらかというと俯瞰して話を聞けちゃいます。でもコンテンツって、その世界に引き込まれるようにできているので」。逆に幸せな結末のコンテンツを観ると、その日すごく幸せになるそう。 Iさんも、たとえ結末を先に知ったとしても、最初から全部の話を飛ばさずに見るという。 「ハラハラ、ドキドキする感情は、結末までの過程を楽しむのに邪魔なんです。話の筋に集中できなくなるから」とIさん。例えば、Mリーグという麻雀の団体戦のセミファイナルを見ていた時も、最後に誰が勝ったか知ってから番組を見たという。「とにかく集中して麻雀そのものを見たかったんですよね。私は結末を先に知っても、面白さが半減するとは全く思わないです」