金が高騰「2000年頃買っておけば13倍」との声も… 世界にプール5杯分しか存在しないという金の歴史と高騰理由【MBSニュース解説】
ローマ帝国の「金貨」 頭文字が$=ドルに…
金は、量が少ないから昔から価値が高いです。かつての金の魅力は、錆びないこと。ツタンカーメンは3000年経っても輝きは変わらないなどが挙げられます。1700年前のローマ帝国で作られたのは、「ソリドゥス金貨」というものです。 それまで給料と言うのは、塩で支払われていましたが、ソリドゥスで給料をもらうようになった労働者は、「ソルジャー」と呼ばれるようになりました。また、ソリドゥスの頭文字を取って、「$=ドル」が生まれたという説もあるということです。 いっぽう現在、金の魅力は加工しやすいことです。約7%は家電や電子機器などに使われています。私たちが持っている割れた携帯電話などにもリサイクルできるものが入っていて、毎年1200~1500トンはリサイクル品と言われています。 金には歴史があることも魅力となっていて、「昔から価値が高い」という共同幻想が、金の価値を高めています。
金の価値は上がるのか?下がるのか?
では、金の価値は今後上がるのでしょうか、それとも下がるのでしょうか。 不安定な国際情勢と、アメリカの次期大統領選の結果によるドルの信頼の失墜の可能性などを考慮すると、金の価値はまだまだ上がりそうとも言われていますが、話はそう単純ではないです。 そこには大きく2つの要素が関係しています。一つは為替です。金は、基本ドルで取引されているため、日本における金価格には、為替の要素が含まれています。 現在の為替では、1グラム1万1500円ですが、もし、為替が1ドル120円になると仮定すると、金も9000円ぐらいになると考えられます。つまり、金の価値がこの先しばらく変わらないとしても、少し円高になるだけで、金の相場が下がることはあり得ます。もちろん逆も。 もう一つの要素は景気です。例えばどこかの国が、バブル崩壊するぐらいの不景気になったとして、それによる金価格への影響が考えられます。 株価暴落などで不況になった場合、一部のお金持ちは現金が必要になり、すぐに現金に換えられるのは金なので、皆が金を売って、価格が下がるということもありえます。実際に、リーマン・ショックのとき一度大きく下がりました。 逆に、不況になった国が、持っていたドルより金を…と考えた場合は、金が上がる可能性もあるということです。様々な要素がある金の世界、その一部をお伝えしました。(2024年5月13日 MBS「よんチャンテレビ」より)