にしおかすみこ、認知症の母から糖尿で病院に同行したあとにお願いされたこと
朝食の支度をしながら
とある日の朝5時。 朝食の支度をしながら「インスリンの注射した~?」と居間にいる母に声をかける。 「そう言うと思って、もうとっくにやってま……せん。あれ? おかしいな。今日の日付のところに、まだバッテン入ってない」と。私手製のチェック表を確認している。毎日打ち終わったら、本人がマジックで印を入れている。 座椅子に座ったまま片手を伸ばし、しおらしい顔で「決して覗かないでください」と、仕切りカーテンをサーっと閉める。 私はこれを聞く度に、このセリフを日常使いするのはツルの恩返しとウチのババアぐらいだろうと可笑しくなる。 「ママ、繊細だから? 見られたくないの?」と言うと、 「そうです」と。 子供にそんな姿を見せたくないということらしい。アラフィフだけど。 少しして、「イテッ……ツゥゥゥ。ママとしたことが今日は痛点に当たった。お腹にこんなに肉があっても痛いときは痛いんだよねえ。クゥゥ。あ~毎日、一生しなきゃいけないかね。ねえ、この間診察行ったとき、先生、そろそろやらなくてもいいって言ってたよね? すみ? 聞いてる?」と。 ◇糖尿の治療をしながら、薬を飲まなくてもいいとかインスリン注射を打たなくていいという重要なことを、簡単に医師の先生が言うことはないだろう。看護師だったにしおかさんの母親は本来わかっているはずだが、「忘れたふり」なのか、それとも完全に思い込んでいるのか……。 認知症と糖尿病。深い結びつきがありながら、組み合わさると意外とやっかいな組み合わせだ。母親に対し、にしおかさんはどうこたえるのか、詳しくは後編「にしおかすみこの認知症の母、自らの糖尿を気にしてダウン症の姉とダイエットを考える話」でお伝えする。
にしおか すみこ(お笑いタレント)