ボーイング、従業員1.7万人削減 777Xは26年に納入延期、767Fは27年生産完了
ボーイングのケリー・オルトバーグ社長兼CEO(最高経営責任者)は現地時間10月11日(日本時間12日)、全従業員にメッセージを送った。ストライキの長期化に伴い、従業員の削減など構造改革が不可欠であることをはじめ、開発中の次世代大型機777Xの納入開始が2026年に遅れること、767F貨物機の民間向け新造を2027年に終えることなどを伝えた。人員削減は全従業員の約10%にあたり、約1万7000人規模になる見通し。 【写真】777X試験機のコックピットや機内 777Xは、開発上の課題に加えて、不具合発覚で飛行試験が一時中断したことや、現在も作業停止が続いているため、2025年度の納入開始を断念。引き渡し開始が2026年になる見込みであることを航空会社など顧客へ伝えたことを従業員にも共有した。 767F貨物機は、受注済みの機体の製造と引き渡しを進め、2027年に民間向けの製造を終了。米空軍や航空自衛隊などが採用している、767を母機とする空中給油・輸送機KC-46Aの製造は継続する。 9月にトップが退任に追い込まれた防衛・宇宙・セキュリティ(BDS)部門については、「必要な水準に業績が達していない」(オルトバーグ社長)と指摘。プログラムの課題や767F貨物機の生産完了決定などにより、今四半期はBDSで新たな損失が大幅に発生すると予想した。オルトバーグ社長は「この事業とプログラムに対し、より一層の監督を行う予定だ」と述べた。 BDSでは、KC-46Aの欠陥や、今年6月に打ち上げられた宇宙船「CST-100 スターライナー」が有人で帰還できなくなるなど、さまざまな問題が起きており、収益に悪影響を及ぼしている。 人員削減については、全従業員の約10%にあたる人数を今後数カ月間で削減予定。「削減には経営陣、管理職、従業員が含まれる」と、経営陣も対象であることを明らかにし、来週従業員に詳細を共有するとしている。 オルトバーグ社長は「このような決定は、皆さんやご家族、私たちチームにとって困難をもたらすものであることは承知している。しかし、当社の事業状況と今後の回復には厳しい措置が必要だ」と理解を求め、会社に対する信頼回復に全力を尽くすことを誓った。
Tadayuki YOSHIKAWA