「大谷翔平選手のものとはちょっと違うのですが...」17歳でプロ契約、横浜FCユースのFW前田勘太朗が描く将来のビジョン
「スタッフの方々に恵まれているからこそ今がある」
ストライカーとしての冷静さと獰猛さを併せ持つ横浜FCユースのFW前田勘太朗は今年、大きな決断を下した。8月29日、彼は高校2年生ながらトップチームとプロ契約を締結した。 【画像】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集! 「これは親にしか伝えていなかったのですが、高2でプロが決まらなかったら、大学に進学すると決めていたんです」 前田は自分自身で明確な目標と将来のビジョンを持っていた。この理由について問うと、はっきりとこう口にした。 「僕としての1つのけじめでした。ユースに上がる段階で、高校3年生まで昇格を悩むような選手ならば、急いでプロに行かないで、じっくりと大学で力を磨いた方がいいと思っていました。なので、今年昇格のお話があった時は嬉しかったというより、(トップに)行く覚悟をすぐに固めて、これからのことをより考えました。和田拓三監督をはじめ、スタッフの方々に恵まれているからこそ今があると思っています」 胸のすくような答えが返ってくる。この話を聞いたのはプレミアリーグEAST第12節(延期により9月18日に開催)の昌平高戦の後。この試合でスタメン出場した前田は最前線から2列目まで幅広く動きながら、ポストプレーで起点を作ったり、鋭いターンで前を向いてドリブルで仕掛けたりと、ボールを握られる展開のなかでもチームのベクトルを相手ゴールに向け続けた。 72分には自陣左サイドからのロングスローをハーフウェーラインを超えた付近でDFを背負いながら受けると、プレスバックに来たDFもワンタッチで外して鋭くターン。そのままスピードに乗ったドリブルで3人を打ち抜く形でカットインしていくと、シュートを打つと見せかけてポケットに入った味方へスルーパス。 これはDFに引っかかるが、自らのもとに来たこぼれ球を逃さず、ファーストタッチから右足を振り抜いた。シュートは相手DFの身体を投げ打ったブロックに阻まれるが、こぼれ球に反応したMF中台翔太が冷静にゴールに打ち込んだ。 「今日はボールをいつもより収められる感覚があったので、佃颯太選手からスローインを受けた時は、自分でターンしてそのままゴール前に持っていこうと思っていました。ラストパスのシーンは少し外にタッチが流れてしまったのですが、そのタッチによって相手ディフェンダーがつり出されて、ポケットにいた朝見友樹選手が空いたのでシュートではなく、パスを選択しました。一度はカットされましたが、運良く僕のところに戻ってきたので、思い切って打ちました。あれで決め切りたかったのですが、中台選手が詰めてくれたので本当に良かったです」 スラスラとプレーのシーンを言葉で伝えられる。これまでの言葉を聞いても、発信力の高さを感じるし、ゴールシーンにおいては判断の連続のなかで、シュートを打つと決めたら迷わず足を振り切ったからこそ、シュートブロックがスペースにこぼれたとも言える。 前田の技術と頭脳と最後は気迫、中台の素早いこぼれ球の反応とシュート技術によってもたらされたゴールが決勝弾となり、横浜FCユースが1-0で勝利して首位に浮上した。