22階のオフィスまで階段を上る社員

【わが社の「健康経営」】 運動習慣の見直しが健康に役立つとわかっていても、職場でたった1人取り組むには勇気が必要なことがある。それが、上司も同僚も取り組み始めると社内に連鎖的に広がって、誰もが当たり前のように健康的な生活を実践できる。そんな輪を広げているのが日本トリムだ。 【健康情報を共有し変化が】 同社は健康に役立つ水を扱う企業だが、全ての従業員が健康に関心を高めていたわけではなかった。 「当社の1人当たりの月平均医療費は、全国平均と比較して低い状態を長年維持しています。しかし、社内にはメタボがいますし、運動習慣がない人もいました。情報発信サイトの社内告知などで、少しずつ従業員の意識が変わったのです」と、同社総務部係長の西川英文氏は説明する。 もともと社外向けに水と健康の情報メディアサイト「トリム・ミズラボ」を提供していた。「腸活」や「食中毒予防」「肥満のタイプや原因について」など、さまざまな健康情報を閲覧できる。このサイトを社内でも活用できるようにしたという。 「健康情報はあふれていますが、正しい情報は常にアップデートされています。従業員にも正しい健康知識を身につけてもらうために、社内発信も必要だと思ったのです」と、同社経営企画部課長の佐藤光佑氏は話す。 社内で健康意識が浸透し始めると、自ら運動量を増やそうと行動に移す人も現れた。 【22階の本社への階段上り】 「1日の歩数を増やすために、昼休みに遠くの場所で昼食をとるようにしました。昼食後は、22階のオフィスへの階段上りを行っています」（佐藤氏） きっかけは、2019年6月に起きた大阪北部地震だった。オフィスビルのエレベーターが停止し、従業員全員が階段を初めて使用することになった。すると、意外にも上り下りができたのだ。 「階段が使えるならば、健康に役立つと思ったのです。以来、階段を使う人は増えています」 こう話す佐藤氏の姿を見て、同経営企画部の三明絢子氏も階段上りするようになったという。最初は、休憩をとりながら22階のオフィスまで10分以上かかっていたが、　最近は9分台にまでタイムが縮まった。