首都高でトラック運転手が車線をふさぎ、後続車両に暴行か…動画が拡散 いったい何の罪に問われるのか?
首都高で車の通行を遮断するようにトラックが停まり、その運転手と思われる男性が外に出て、後続車に何か叫びながら暴れる――。X(旧Twitter)に9月23日、こんな様子を捉えた動画が投稿されて、翌24日午後までに1.4万以上リポストされています。 【拡散した動画】無理やりドアをこじ開けようとしたり、何かを手にして車を叩いたりするような激昂した様子が見られる 動画の投稿主は、「煽り運転を繰り返しトラックで車線を塞ぎ停車。通行止め状態」「車外で暴れてるトラック運転手は何キロも手前から前を走る車全てに車間ベタ付けで危険運転を繰り返してた」と投稿しました。 実際に動画を見ると、高速道路上でトラックの運転手がトラックで車線を塞ぎ、後続車のドアをむりやり開けようとして暴言を吐いたり、暴れたりしているように見えます。さらに両車線とも後続車両も通行できなくなっており、渋滞が発生しているようでした。 この運転手が勤務する運送会社は9月24日、自社のYouTubeで「弊社従業員の運転する車両による危険な運転について、大変お騒がせしております。この度は、恐怖と危険を感じさせてしまいました被害者の方へ改めてお詫び申し上げます」と謝罪しました。 ネットでは「会社の車でよくやるよ」「あおり運転で逮捕でしょ」などと驚きの声があがっています。法令違反だらけの行為に見えますが、一体どのような罪に問われる可能性があるのでしょうか。
●どのような罪になる?
<妨害運転罪、往来妨害罪> 動画では、トラックが画面左の黒い乗用車の前を塞ぐように移動し、停車しているように見えます。これは妨害運転罪(道路交通法117条の2の2第1項8号ヌ)にあたります(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。 さらに、本件は高速道路上であり、停車させる行為は著しく危険と考えられますから、同法117条の2第1項4号により、さらに刑が重くなります(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。 また動画では、トラックが高速道路2車線をふさいでおり、他の車が通行できなくなっているように見えます。これは刑法上の往来妨害罪(同法124条1項)にあたりそうです(2年以下の懲役または20万円以下の罰金)。 なお、道路が完全に塞がれておらず、動画に写っていない部分を通行できる場合にも、過去の判例に照らせば同罪が成立します(最決昭和59年4月12日)。 <暴行罪、器物損壊罪> さらに、トラック運転手は黒い車両のドライバーを怒鳴りつけ、ドライバーに向かって窓越しに何度も強く殴りかかっているように見えます。トラック運転手はドライバーに直接触れてはいないようですが、暴行罪(刑法208条)が成立しうると考えられます(東京高判昭和30年4月9日、東京高判平成16年12月1日等参照)。暴行罪が成立する場合には、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料となります。 加えて、トラック運転手は黒い自動車のドアや窓ガラスを蹴ったり殴ったり、ミラーをたたんだりもしています。その結果ミラーなどが壊れたりした場合には、器物損壊罪(刑法261条)も成立します。