マスク氏の「スターリンク」巡り闇市場も-不正利用が安全保障脅かす
米軍もスターリンクの顧客だ。 空軍は北極圏で端末をテストし、「信頼性が高く高性能」と評価した。
マスク氏の衛星通信「スターリンク」、北極圏での米軍のテストに合格
スターリンクのこうした特性が、戦争を仕掛けてきたロシア軍に対するウクライナ軍の防衛に不可欠なものとなった。スペースXはロシアが侵攻を始めた当初、スターリンクをウクライナ政府に提供。以来、スターリンクはウクライナの通信インフラにとって極めて重要な役割を果たしている。
その後、米国防総省はスターリンクとウクライナへの機器供給契約を結んだが、その条件は公表されていない。
説明責任
ウクライナは今年2月、ロシアが戦争で使うためスターリンクを配備していると指摘。Xへの投稿画像はキットを開けるロシア兵の姿を捉えているように見えたが、これは確認には至っていない。
米国では民主党の下院議員2人が、スペースXのグウィン・ショットウェル社長にウクライナの主張を巡り書簡を送付。マスク氏はXを通じ、「われわれの知る限り、スターリンクは直接、間接を問わずロシア向けに販売されていない」と説明した。
世界中の安全保障当局が懸念しているのは、衛星アンテナがどこに設置されるかという不確実性だ。スターリンクのキットはベネズエラで使用するためにも販売されているが、マドゥロ大統領の権威主義的な統治の下で、同国の個人や団体は10年近く米国の制裁の対象になっている。
スターリンクのウェブサイトに掲載されている通信可能地域の地図では、ベネズエラは黒く塗りつぶされている。しかし、ソーシャルメディア上では、孤立した地域に牧畜場や金鉱があるこの国でのスターリンク機器のパッケージ取引が宣伝されている。
ノーススター・アース・アンド・スペースのディレクター、キャンディス・ジョンソン氏はスペースXについて、「基本的に全ての送信機を特定することができる」ため、ウクライナのロシア占拠地域でロシアのスターリンク使用を阻止できるはずだと主張し、「国家に対し、企業に対し、株主に対し、利害関係者に対し、もっと説明責任を果たす必要がある」との考えを示した。