マスク氏の「スターリンク」巡り闇市場も-不正利用が安全保障脅かす
最近まで世界一の富豪だったマスク氏は、スペースXの打ち上げ事業の収益には上限があると述べているが、スターリンクは最終的に年間売上高が300億ドル(約4兆5500億円)に達する可能性がある。
スターリンクは地上のブロードバンドが届かないエリアや、自然災害や紛争で寸断された地域をつなぐため、さらに何万もの衛星を打ち上げる計画だ。
だが、米国の民間企業1社がインターネット事業をコントロールすることは安全保障上の懸念を生む。そのため、スペースXはまず各国政府と取り決めを結ぶ必要がある。
アフリカの地理空間・ガバナンス・リスク専門家でニューヨークを拠点とするマニュエル・ヌトゥンバ氏は、「取り決めのない所では人々は適切なカバレッジがないままスターリンクを利用しようとしている。これは違法であり、もちろん許されるべきではないが、管理するのは難しい」と述べた。
米軍の評価
中央アジアでは今年、カザフスタン政府が違法端末を取り締まったが、その使用はほとんど減らず、闇市場での値上がりを招いただけだった。報復を恐れて公には話したくないと言う輸入トレーダーが明らかにした。政府が介入する前は、購入した顧客はその製品を現地から郵送できたという。
21日に提示した質問リストについて、スペースXにコメントを求めたが、同社は回答しなかった。スペースXの最高経営責任者(CEO)を務めるマスク氏はソーシャルメディア、X(旧ツイッター)のオーナーでもある。
スペースXは2月、「スターリンクの端末が制裁を受けたか許可を得ていない利用者により使用されているという情報を得た場合、その情報を調べ、確認されれば端末を停止する措置を講じる」とXに投稿した。
スターリンクの魅力は、高速で信頼性の高いインターネットが使いやすいパッケージで企業にも消費者にも提供されるということだ。だが、それ故、接続が不安定な地域で闇市場が拡大。通信ツールとしての有効性が多くの点でセンシティブな問題を引き起こしている。